田中邸前でロッキード事件で再釈放された角栄を待つ橋本龍太郎氏ら「田中軍団」(写真/共同通信社)

田中邸前でロッキード事件で再釈放された田中角栄氏を待つ橋本龍太郎氏ら「田中軍団」(写真/共同通信社)

 尋常小学校卒で総理に上り詰めた叩き上げ。そんな角栄の人柄を示すエピソードには事欠かない。

「田中さんは派閥の人間とゴルフをする時、2人で回るんです。プレイ中に『あの省の次の事務次官は誰になるんだろうか』と情報を集めたり、社会問題についての意見を求めたりする。マンツーマンで付き合うことで田中さんとの関係が深まって、ますます彼に魅了される。それが田中軍団の原動力でした」(藤井氏)

 金権体質が指摘される角栄には「札びらで頬を叩く」との批判もあった。だが中村氏は、「それでは人の気持ちはついてきません」と指摘する。

「例えば盆暮れにお金を渡す時、ポーンと机の上に置かれたら誰でもムッとします。でも田中さんは、決して少ない額ではないのに、『本当に少なくて申し訳ない。わずかな分だけど』と最敬礼して相手に渡していた。これが効くんですよ。

 選挙応援で地方に行けば、その地域の代議士の運転手にも『今日はありがとう』と心づけを渡し、料理屋では下足番や仲居にまで心づけを渡していた。人の下で働く下積みの心を理解するからこそ、みんなが田中ファンになる。これはお金ではなく気持ちの問題です」

(第2回につづく)

※週刊ポスト2022年7月8・15日号

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