愛犬の死後は、新聞記事で見つけて購入したという「しゃべる犬型ロボット」でペットロスを乗り越えた。それでも、散歩中の犬を見ると目を細めて駆け寄ったという。
「いつもうちの犬をなでてくれて『かわいい〜かわいい〜うちに連れて帰っちゃおうかなぁ』なんて、冗談をおっしゃっていました」(別の近隣住民)
樹木希林に「ブス」で楽屋が騒然
野村さんは東京生まれで、18才のときに終戦を迎えた。
「戦時中は軍国少女で、8月15日には死ぬつもりで青酸カリを持って皇居前に行ったそうです」(前出・芸能関係者)
結局、死を選ぶことはなく、医療機器の卸問屋を営む家業を継ぐために東京薬学専門学校に入学する。在学中に芝居に夢中になり、薬剤師としても病院に勤務したが、俳優座の養成所に入所した。
「お父さんは『その顔で女優は難しい。10分間鏡を見て考えなさい』と反対したそうです。でも、鏡を見ても気持ちは変わらず、10分後に『劇団に入ります』と伝えたのだとか(笑い)」(前出・芸能関係者)
市原悦子さん(享年82)は同じ俳優座の5期後輩で、60年来のつきあいだった。彼女の夫も、野村さんの夫と同じく演出家で4人で会うことも多かった。
樹木希林さん(享年75)との親交も深かった。
「2人は映画やドラマで共演しただけでなく、ご近所同士だったんです。野村さんの家の真裏に希林さんが住んでいて、親友というか親戚みたいな関係でした」(映画関係者)
楽屋で希林さんが野村さんを「ねえ、デブ」と呼ぶと、野村さんが「なんだい、ブス」と返す。気心の知れた2人の軽妙な“貶し合い”に、ほかの共演者が思わず吹き出してしまうことも。おおらかな野村さんは多くの仕事仲間から愛されていた。前出のピン子も野村さんとの共演が忘れられないという。
「亡くなったと聞いて、野村さんとの思い出が頭の中を駆け巡って、悲しくて眠れなくて……。『腕まくり看護婦物語』(フジテレビ系)の大島でのロケは忘れられません。アドリブの連続で大爆笑でした。たくさんの思い出、忘れません。野村さん、ありがとうございました」
いま頃は往年の俳優仲間や、夫と愛犬タッキーちゃんらが、天国で「待ってたよ」と野村さんを出迎えていることだろう。
※女性セブン2022年7月21日号