ホストクラブといえば、イベントにはシャンパンタワー。費用は50から100万円~かかり、一般的な収入の女性がひとりで支払うには無理がある(イメージ)
「そりゃ、太客にお金を使ってもらうためにありとあらゆるサービスを行うのがホストだという認識はありました。でも、お金のない客に借金をさせてまで利用させようというホストはほとんどいなかった。でも、一攫千金を夢見る若い男性がホストに転身してくるようになり、女性客をただ消費するだけのホストも増えていきました」(森田さん)
ホストの聖地と呼ばれる新宿歌舞伎町には現在、数百単位のホストクラブが存在すると言われている。それだけホストを利用する女性が増えたと解釈できるのだが、森田さんに言わせれば内情は異なる。
「ホストを利用しなくてもよかった女性を取り込む、そしてあの手この手で金を作らせる。借金をさせるだけでなく、性風俗店で働かせる、成人向けビデオに出るよう仕向ける。これを店とスタッフ、そして外部の人間が組織的にやる場合があるんです。需要と供給のバランスで言えば、ホストクラブは明らかに供給過多なんですから、女性を使い捨て、踏み台にしてしか存続できなくなっている」(森田さん)
利用しなくてもよかった女性というのは、普通に生活して普通の判断力があるときなら、ホスト遊びとは無縁であっただろう人という意味だ。人は遊びながら生きるものだが、生活を圧迫するほど収入から遊興費に注ぎ込まない。一方でどんな人も気が緩んだり様々な理由で無駄遣いをする瞬間はあるので、一部のホストはそのすき間につけ込み、狭間から抜け出せないようにする。
もちろん、客が無理のない範囲で遊べるよう心がけているホストもホストクラブも存在する。だが、自分の客には無理をさせて当然という態度のホストが悪目立ちをしているのが現実だ。彼らの多くはSNSを巧みに使用して、スマホのなかではアイドルのような振る舞いでアピールしている。ある程度の経験がある人ならば、彼らの誘い文句が言葉通りではないと見破るのは簡単だが、まだ若い人たちにそれは難しいだろう。
悪質なホストは、右も左も分からない未成年女性であろうとも、食い物にするのをためらわない。学校や職場の人間関係に悩んでいたり、家族や恋人との生活に疲れているなど精神的に不安定な、普通の接客業ならばためらうような相手をターゲットにする。また、普通の精神状態だったはずの女性にも、恋愛をちらつかせたり、頻繁に連絡するよう命令するなどして、次第に冷静な判断ができなくなるように追い込む。そして、自分の担当、最近の言い方だと「推し」に無理をしてでもつぎ込むと決めたのは女性自身なのだという体裁を保つことで、ホストには責任がない形をつくっている。
「ホストにはまる女のほうがおかしい」のではなく、抜け出せない精神状態へ追い込むノウハウが発達してしまったのだ。成人年齢が18歳になったことで、被害が拡大しないか不安視される。
雑誌モデル出身で、現在有名ホストクラブの経営者グループにも所属する引田琉さん(仮名・30代)も、現在のホスト業界を覆う風潮について本音を吐露する。