福岡県出身の心意気ゆえか、自らの薄毛には厳しい目を向けていた。
「30才で頭の4割がハゲて、毎晩育毛剤を塗って抗ってもさらに薄くなりました。ハゲで笑いを取るのはプライドが許さず、泣かず飛ばずで中途半端な“逃げのハゲ”だった。でも、うまくいかないことを薄毛のせいにするのをやめ、36歳でスキンヘッドにしたら、キングオブコントで優勝できた。ハゲで芸能界をある程度上り詰めたの、井手らっきょさん以来じゃないですか」(小峠)
ランキング37位・新潟県出身で『カツラーの秘密』の著書を持つスポーツライター・小林信也氏は、「確かに周囲の人は薄毛に寛容だった」と振り返る。
「父がハゲで祖父がスキンヘッドだったので、“必ず自分もああなる”との恐怖心が幼いころからありました。そんな自分と比べると、周囲の人はあまり気にせず受け入れていたように思います」
ただし、「眉上7cm」を薄毛の境界線とすることには異議を唱える。
「薄毛にもタイプがあるでしょう。僕は頭のてっぺんから薄くなったので、生え際を境界線とすることに意味を感じません。むしろ生え際から薄くなるタイプは見た目もみっともなくないので羨ましかった。生え際か頭頂部かで、県民性も変わりそうですよ」(小林氏)
小峠はそもそも「境界線」を気にすることはないと話す。
「僕はスキンヘッドにして失う髪がなくなったから、そもそも境界線なんてない。人間、ハゲてからが勝負だし、そこからすべてをさらけ出せます。僕は毎朝、バリカンで髭を剃るかのように頭皮を剃っている。これはもうエチケットです」
薄毛か否かの境界は、自分で決めるものなのかも知れない。
※週刊ポスト2022年7月22日号