結婚より仕事を選んだ『ちむどんどん』の大野愛。再登場はあるか(時事通信フォト)
キャリアアップした「大野愛」の再登場を待つ!
そして失恋は『ちむどんどん』の大野愛役へとつながる。登場したときから、なんとなく恋の終わりを予感させるほど、失恋のプロ化していた飯豊さん。それでも品行方正な朝ドラが、交際中のカップルを別れさせるだろうか? と信用はしていなかった。
でも放送回が進んでいくごとに、失恋モードは高まっていく。自分の彼氏が心変わりしていく様子を、傍で見守る羽目になる彼女。これほど辛いシチュエーションはない(経験談による)。それでもラストは彼氏を「ふった悪者」にすることなく、手紙を渡して会社を去っていく。
あくまでも役柄によるが、飯豊さんのふられ方は、潔い。特に今回の『ちむどんどん』での失恋は、格好が良かった。この流れ、飯豊さんのパブリックイメージによるものだと私は推測する。真っ白な肌に、切れ長の瞳。彼女を思い出すと、笑顔が浮かんでこないだろうか。
男にふられても、(『花のち晴れ』の)メグリンのごとく、次の恋のチャンスを逃さない。愛のように、仕事に生きる。そんな強さと本人のイメージがリンクする。だからこそ、ふられ役が続いても違和感はない。これが仮に“薄幸女優”として名高い、木村多江さんが演じるとするなら……どうだろう? 役で男にふられた瞬間、必要以上に落ち込むか、復讐劇が始まりそうな予感が……。
これからも飯豊さんにはふられ役が巡ってくるだろう。できればその度に強くなっていく様子を演じてほしい。今回の愛役も数年後の設定として、キャリアも重ねて、ついでにパリの男性と結ばれて、ドラマに再登場をしてくれることを待っている。
【プロフィール】
小林久乃(こばやし・ひさの)/エッセイ、コラムの執筆、企画、編集、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。著書に、30代の怒涛の婚活模様を綴った『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)、『45センチの距離感 -つながる機能が増えた世の中の人間関係について-』(WAVE出版)がある。静岡県浜松市出身。