芸能

アナウンサー・逸見政孝さんの最晩年 長男・太郎が見た「仕事に復帰したい」の執念

逸見政孝さんの晩年を長男でタレントの逸見太郎さんが振り返る

逸見政孝さんの晩年を長男でタレントの逸見太郎さんが振り返る

 無数のフラッシュの前で「私がいま侵されている病気の名前、病名は『がん』です」と語ったのは、逸見政孝さん(享年48)。平成を代表する名司会者による「告白」があったのは、がんがまだ“不治の病”で、公の場で語ることがタブー視された時代。前代未聞のメディア公表を経て闘病に入った父の壮絶な最期を、長男でタレントの逸見太郎さんが語る。

 * * *
 父は寡黙で厳格で、昭和の父親像そのものでした。褒められた記憶はなく、学校の成績で1位になっても「まだ上がいる。もっと頑張れ」と。

 子供ながらに寂しい気持ちがありましたが、いま思うと、毎日生放送のニュース番組に出ていて、子育ては完全に母に任せていたと思います。僕も同じテレビの世界に足を踏み入れ、親になってそう思います。

 フリーに転身した1988年頃からは気持ちに余裕が出たのか、家族で父の番組を見ることがありました。『夜も一生けんめい。』で床に転がる場面など、父にそんな一面があったのか、とびっくりして見ていました。

 僕が小学生の時、まず叔父が32歳の若さで胃がんに罹り亡くなりました。それ以来、父はがん検診は受けていたようです。

 父は会見の前、1993年の1月に最初のがん告知を受け、翌2月に手術をしています。当時は米国留学中で、母から電話で知らされました。「とにかく学業に専念せよ」と父からの伝言があり、帰国はしませんでした。

治るのかね?

 9月に会見が行なわれた後、父からの手紙と、会見時のビデオが米国に届きました。寮の部屋で手紙を読み、ビデオを見たのを覚えています。

 手紙には「とてつもなくデッカイことをしたような気がする」と書かれ、会見の高揚感が伝わってきました。1000件以上の激励の電話やFAXが「ベッドの上のパパにとっては本当に大きな励みになっている」と喜びが綴られるなど、父の手紙の言葉には驚きました。

 思えば寡黙な父も、手紙ではいつも饒舌でした。最後には必ず「太郎のことを一番心配しているパパより」と書いてくれていた。その言葉が嬉しかったのを覚えています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン