キングオブコント決勝の常連だったTKO
松竹芸能との契約内容には、金銭トラブルに関する条項があり、木本の行為はそれに抵触する可能性もあったという。
「事務所はクビだとは言いません。むしろ、どうやったら少しでもマシな状態に持って行けるかというのを考えてくれました。木下に電話するのは、何度も躊躇して先送りにしてたんですよ。あいつは投資とかに全く興味ないし、この話は一度もしたことがなかったんです。落胆する感じを目の当たりにする勇気がなくて、3日目くらいにえいっ!とスマホのボタンを押したら、一番想像していなかったリアクションが帰って来たんですよ」
経緯を話す木本に、木下は静かに「そうか。そうなってしまったか……」と言った。続けて返ってきた言葉は、次に木本がどうすべきかを一緒に考える内容だった。
「『お前、何してんねん!』とか『ふざけんなよ!』っていうのを想像してたので、たまらん気持ちになりました。木下が後輩にペットボトルを投げつけた騒動を起こした時は僕、『なんですぐ謝らへんねん?』って怒りましたから。僕は怒られて当然、ショックで落ち込まれて当然。そういう立場なのに、相方は『よし、これからどうしてこか?』という感じだったんです。それはすごく救いになりました」
木本には10代の頃から交際し、ブレイク前に結婚した糟糠の妻がいる。
「木下もそうですけど、家族にも大変な迷惑と苦労をかけてしまいました。でも、僕のおらんところで、家族は一致団結して闘ってくれようとしています」
木本は昨年、マイニングに特化した法人を設立し、一連の騒動の金がその会社に流れているのではないかという噂も立った。マイニングとは、仮想通貨の取引に必要なコンピューターの複雑な計算を行い、成功報酬として仮想通貨を得ることで、その事業には高額な機材が必要とされる。
「以前から、僕は仮想通貨やNFT、メタバースに興味があって、過渡期の今こそ、新しいメディアを作って『これはいい』、『これはあかん』と発信するような企画を専門家と一緒にやりたいと考えていたんです。ベースとなる資金を作るのに一台のコンピューターでマイニングするよりも、多ければ多いほど充てがわれる獲得枚数が多くなる。だから、皆でお金を出し合って、安定して運転資金を作ろうという意図で立ち上げた会社なんです。僕が旗振り役ではなく、神輿に乗らせてもらっているだけなんです。その準備をしている矢先にコロナになって、なんやかんやで何も進んでいない状態ですが、一連の騒動とは全く関係ありません」
巨額の負債を抱えた木本には、自己破産という選択肢もあるが、本人は言下に否定する。