ビジネス

SNSで発信される飲食店の不正告発 「これからも確実に増えると思う」内幕

飲食店の衛生管理状態は食中毒予防のためにも重要なこと(イメージ)

飲食店の衛生管理状態は食中毒予防のためにも重要なこと(イメージ)

 かつてネット掲示板で企業の不正を告発する内容が書かれても、名指しされた側は無視を決め込むのが通例だった。事件化してようやく、あの書き込みは本当だったのかと振り返られることもあった。ところがいま、たとえ匿名アカウントからであっても、SNSで具体的に不正が告発され拡散されたなら、かつてのように企業が無視を通すことが難しくなってきている。大阪王将の支店をめぐる衛生管理等の問題は、その典型的なものだろう。俳人で著作家の日野百草氏が、SNS発の内部告発が企業を動かしたことをきっかけに、労働者と経営との関係の変化について考えた。

 * * *
「厨房にナメクジ大量発生の告発ね。ああいう告発、これからも確実に増えると思います」

 飲食チェーン加盟店(以下、加盟店)の元店長(40代)はこう断言する。彼は筆者の旧友でいまは別の仕事をしているが、以前は店長として飲食店を切り盛りしていたことがある。彼の店長時代、何度か店に足を運んだことがあるが、店員たちは笑顔で楽しそう、なかなか良い雰囲気だったことを覚えている。

「そう言ってもらえるとありがたいですが、そうでない店も多い、それは当然の話ですが」

 視線が泳ぐ。彼の「確実に増える」というのは餃子で知られる中華料理チェーン(本部)のフランチャイズ加盟店において、店員の男性が「ナメクジ超大量発生してます」「ザルにもいるから気をつけて」といった店舗責任者とのやりとりをSNSなどで公開したことだ。その他にもTwitterで店の衛生状態から料理の質までツイートを続けるだけでなく、YouTubeで配信もした。本部はついに「外部からの侵入があった」ことを認め、「所轄保健所からご指摘をいただいた通り」として謝罪した。

「あれはフランチャイズの話ですが、客の多くは直営店舗(レギュラーチェーンとも。本稿では直営とする)と加盟店の違いなんてわかりませんからね」

加盟店は中小企業なので経営者次第

 外食、小売りチェーンの大半は直営店と地場の中小企業による加盟店とで分かれている。詳しい人なら見分けがつくが、一般消費者の中には知らない、気にしていないという人も多いだろう。直営店は外食チェーン運営本体が経営するが、加盟店は加盟したオーナーが本体のノウハウや名前を使って経営する代わりにロイヤリティを支払う。店舗だけ見ると名前は一緒だが、実際は加盟企業がその名前で店を開いている。もちろんそれぞれ独立企業なので、例えばコンビニAの経営をやめてコンビニBを経営するのも自由である。

「どちらが偉いとかはないですが、やはり直営のほうが待遇はいいでしょうね。これは愚痴みたいで申し訳ないですが、お年寄りなどに『CMで有名な○○の社員さんなら給料いいでしょう』なんて言われると困ります。実際は誰も知らない有限会社○○の社員だったりするので」

関連キーワード

関連記事

トピックス

慶應義塾アメフト部(インスタグラムより)
《またも未成年飲酒発覚》慶大アメフト部、声明発表前に行われた“緊急ミーティング”の概要「個人の問題」「発表するつもりはない」方針から一転
NEWSポストセブン
物件所有者が貸し出しを止めるケースもある
《事故物件のリアル》「変色した血痕、体毛の塊…犬たちが死に物狂いで争った痕跡」ブリーダーの部屋で起きた“凄惨すぎる事件”
NEWSポストセブン
引退後の生活を語っていた中居正広
【全文公開】中居正広、15年支えた恋人との“引退後の生活” 地元藤沢では「中居が湘南エリアのマンションの一室を購入した」との話も浮上
女性セブン
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《裸でビリヤード台の上に乗せられ、両腕を後ろで縛られ…》“ディディ事件”の被害女性が勇気の告発、おぞましい暴行の一部始終「あまりの激しさにテーブルの上で吐き出して…」
NEWSポストセブン
2名の未成年飲酒が確認された慶應義塾アメフト部(時事通信/インスタグラムより)
《2年足らずで再度発覚》慶應アメフト部員、未成年飲酒で複数名が処分 同部が声明「厳正に対処いたします」
NEWSポストセブン
親方としてのキャリアをスタートさせた照ノ富士(写真・時事通信フォト)
【25億円プロジェクト】照ノ富士親方の伊勢ヶ濱部屋継承 相撲部屋建設予定地の地主が明かした「6階建てお洒落建物」構想
NEWSポストセブン
取材に応じる鈴木宗男氏
兵庫県知事選ほか「暴走SNS」と政治はどう向き合うか 鈴木宗男氏が語る「批判の集中砲火を浴びても生き抜くのに必要なこと」、ホテル避難時に “妻の深刻な心配”を実感
NEWSポストセブン
水原被告がついた「取り返しのつかない嘘」とは
水原一平被告がついた「取り返しのつかない嘘」に検察官が激怒 嘘の影響で“不名誉な大谷翔平コラ画像”が20ドルで販売
NEWSポストセブン
折田氏が捜査に対し十分な対応をしなかったため、県警と神戸地検は”強制捜査”に踏み切った
《「merchu」に強制捜査》注目される斎藤元彦知事との“大きな乖離”と、折田楓社長(33) の“SNS運用プロ” の実績 5年連続コンペ勝ち抜き、約1305万円で単独落札も
NEWSポストセブン
ギリギリな服装で話題のビアンカ・センソリ(インスタグラムより)
《露出強要説が浮上》カニエ・ウェストの17歳年下妻がまとった“透けドレス”は「夫の命令」か「本人の意思」か
NEWSポストセブン
四川省成都市のPR動画に女性社長役で出演した福原愛(写真/AFLO)
福原愛が中国で“女優デビュー”、四川省の“市のPR動画”に出演 バッチリメイクでハイヒールを履きこなす女社長を“快演”、自虐的な演出も
女性セブン
車に乗り込む織田裕二(2025年1月)
《フジテレビ騒動の影響》織田裕二主演映画『踊る捜査線 N.E.W.』、主要キャストに出演を打診できないままピンチの状態 深津絵里の出演はあるのか
女性セブン