スポーツ

元騎手・蛯名正義氏が考える「いいジョッキーになるために必要なこと」

2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした蛯名正義氏

1987年の騎手デビューから34年間で通算2541勝の蛯名正義氏

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、いいジョッキーになるために必要なことについてお届けする。

 * * *
 ジョッキーになるため、あるいは続けていくためにこれだけは必要だという運動能力なんていうのはとくにないのではないでしょうか。

 最も大事なのは「絶対に負けたくない!」という強い気持ち。これがないと絶対に一流ジョッキーにはなれないのかなと思います。競馬だけのことではなく、あらゆることで勝つことに貪欲であること。たとえば僕は道を歩いていて後ろから来た人に抜かれると、抜き返そうと速足になってしまうという性格でした。

 その現われ方は人それぞれ違うのでしょうが、とにかく気の持ち方が勝負ごとに向いているかということだと思います。いつでも闘志満々の雰囲気を出している人もいれば、そういう意識をいつも内に秘めていて、何かの時に表に出てくることもあると思います。いずれにしろ努力して得られるものではなく、持って生まれた資質ではないかと思うんです。ちょっと鼻っ柱を折られたら「俺はもうダメだ」と思うのではなく、やり返してやるぞと思えるかどうかということも考えられるかもしれません。

 その性格が競馬学校入学の際に問われることはありません。「勝ちたい」という気持ちが強ければ、きついトレーニングに耐えることもできるし、勝つためにどうすればいいかと考えることもできます。

 まだジョッキーになろうなんて考えてもいない小学校に入ったばかりの頃の話です。僕は脚の病気で長期間入院していたのですが、ある日そこに巨人軍の王貞治選手が慰問にいらしたことがありました。で、50人ぐらいの子供たちでじゃんけんをして僕が勝ち抜き、王さんに抱っこしてもらったんですよ。生来の負けず嫌いだったのかどうかは断言できませんが、勝ってやるぞという純粋な気持ちは強かったのだと思います(笑)。

 小学校や中学校の時、運動に関することで一番だったものはひとつもありません。野球をやっていましたけど、体が小さかったのでパワーが足りず、プロ野球の選手になりたいなんていう夢は持てなかった。運動会の徒競走でも「負けたくない」という気持ちはありましたが、やはり足の速い子にはかないませんでした。もちろん腕力やジャンプ力があるということが邪魔になることはないけれど、必須条件ではない。ジョッキーはアスリートではありますが、科学的なトレーニング方法も開発されていて鍛えることができます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン