サービスがいい医師を選ぶ
ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長の島田菜穂子さんは「病状の説明」に着目する。
「診察時に『理由』も併せて説明する医師は安心できます。例えば『〇〇だから、このしこりは放っておいて大丈夫です』という説明です。患者が重ねて不安を訴えたとき、『それなら〇〇科で検査を受けてみますか』と答えてくれたらとてもよい医師です」
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんも医師のレスポンスを重視する。
「かかりつけ医は患者に対するサービス業の色合いが強く、LINEやメールなどで患者と密にコミュニケーションが取れることがポイントで、患者の求めに臨機応変に対応することが必要です。患者が不調を訴えたらすぐに診断書を書き、適切なところに紹介できるレスポンスの早さが優秀なかかりつけ医の条件です」
症状が一向に改善しないのに、ダラダラと診療を続ける医師には気をつけたい。ティーズ内科クリニック院長の土山智也さんは言う。
「患者の症状からさまざまな病気の可能性を探り、必要に応じてほかの専門医を紹介することがかかりつけ医の大きな役割の1つです。症状が改善しないのに同じ薬ばかり処方して、ほかの病院への紹介状を書いてくれない医師は、かかりつけ医としておすすめできません」(土山さん)
長いつきあいになるからこそ、薬の処方も問題になる。大阪在住の福田愛子さん(56才・仮名)が言う。
「風邪をひいただけで5種類の薬を出されたんですが、それって多いですよね? なんか薬を出されておしまいって感じで嫌な思いをしました」
岡田さんは、薬を多く出す医師には注意が必要だという。
「例えば抗生物質を多用すると耐性ができ、感染症など重い病気にかかったときに薬が効かなくなる恐れがある。普通の風邪の症状なら、抗生物質以外の薬1?2種類で充分なのです」
患者側にも注意点がある。
「かかりつけ医を持つからには定期的に通院して、必要がないのにほかの病院に通院するのは避けてほしい。自己判断で薬をやめ、調子が悪くなって来院を繰り返すことも『いい加減な患者だな』との印象につながります。
医師は社会的な責任が重く若干プライドが高い人が多いので患者が攻撃的な態度になると反発してしまいがち。お互いに物腰を柔らかくすれば、よい関係が築けると思います」(土山さん)
最後にこんな点も念頭に置いておきたい。
「『この先生だ』と決めたら、家族ともども末永くお世話になれるのが理想です」(岡田さん)
健康寿命を延ばすためにも、医師を見極める目を養いたい。
※女性セブン2022年8月18・25日号