「『ヤザワさん、俺たち行きまっせ』って言うすげえゲストが駆けつけてくれてます! B’z! 松本! 稲葉!」
矢沢永吉(72才)が2人の名前を呼ぶと、6万人の大観衆からどよめきが起こった。8月28日に東京・国立競技場で行われた矢沢のデビュー50周年記念公演。B’zのゲスト出演は本番当日のライブ中盤まで伏せられたトップシークレットだった。
ボーカルの稲葉浩志(57才)とギターの松本孝弘(61才)が登場し、笑顔で迎え入れた矢沢とハグ。松本がかき鳴らすギターに合わせて、稲葉のハイトーンボイスが響き渡ると、会場から悲鳴にも似た歓声が沸き起こった。
「前日の公演でMISIAさんがゲスト出演したときもかなり盛り上がりましたが、事前告知のなかったB’zの登場はファンにとってもサプライズ。矢沢さんと稲葉さんが肩を組んで、『ファンキー・モンキー・ベイビー』を熱唱する姿に多くのファンが酔いしれました」(観客の男性)
共に日本の音楽シーンでトップを極めた矢沢とB’zだが、意外にも3人揃っての共演は過去になく、接点はほとんどない。奇跡の“頂上共演”はなぜ実現したのか。
「実は、ギターの松本さんは昔から大の矢沢ファン。今回披露した『黒く塗りつぶせ』は歌詞を見ずに歌えるほどで、キャロル時代からプライベートでコンサートを見てきたといいます。稲葉さんも“キング・オブ・ロック”として君臨する矢沢さんに最大の敬意を払い、共演の話が持ちあがったときは二つ返事で快諾したそうです」(音楽関係者)
松本が、矢沢を特集した『別冊カドカワ』(2012年8月号)にメッセージを寄せたのはいまから10年前のこと。1991年に矢沢とラジオで共演したことがあるという松本は、前日の夜に眠れないほど緊張したことやファンとして日本武道館のライブに行ったことなどを打ち明けた。偶然の“出会い”もあったという。
《実は昨年、あるお店で偶然矢沢さんにお会いする機会に恵まれました。緊張しながらも席を立ち、矢沢さんにご挨拶にいきました。矢沢さんは気さくに答えて下さり、帰り際には矢沢さんの方から『またどこかで会いましょう。』と声をかけていただきました。カッコ良すぎです》(『別冊カドカワ』)
約10年の時を経て“約束の再会”を果たした今回のステージで、矢沢も松本に「飲み屋かなんかで会ったんだよね」と懐かしそうに語りかけていたという。B’zは過去にアメリカのバンド「リンキン・パーク」や「エアロスミス」と共演したことはあるが、日本人アーティストのライブにゲストとして参加するのは初めてのこと。不振にあえぐ音楽業界を盛り上げたいという共通の願いもあったようだ。
「コロナの感染拡大で2020年にツアーを中止して以降、矢沢さんは常に『ロックの火を絶やしてはいけない』と考えてきました。一方、B’zの2人も『自分たちに出来ることはやりたい』と発信し、昨年9月にはMr.ChildrenやGLAYと有観客のライブプロジェクトも行っています。8月上旬に稲葉さんがコロナに感染した際も、深刻な症状が出ることもなく復活を遂げ、リハーサルも問題なく行うことができたといいます」(前出・音楽関係者)
両者の思いが合致した上に、矢沢の50周年という大舞台だからこそ実現したビッグな共演。矢沢は「たまんねえよぉ! 俺、幸せ!」と喜びを露わにし「朝までやろうぜ!」と興奮気味だった。
※女性セブン2022年9月15日号