2016年、中村芝翫の襲名披露直前、週刊誌報道について釈明記者会見をする歌舞伎俳優の中村橋之助さん(時事通信フォト)

2016年、中村芝翫の襲名披露直前、週刊誌報道について釈明記者会見をする歌舞伎俳優の中村橋之助さん(時事通信フォト)

 これまでも芝翫さんの女性問題に対する三田さんの対応は、神対応と呼ばれてきた。戸惑うような表情を見せながらも、笑顔を絶やさず、はんなりと柔らかな話し方で記者たちの質問に応じる。きちんと説明しつつ、夫や家の評判は傷つけない。どんな批判もやんわりとかわし、聞いているこちらを嫌な気分にさせることもない。プライベートより仕事を優先、息子たちも受け継いでいる歌舞伎に注目もらえるよう、無理なく話題を変えていく。そんな三田さんの対応に、彼女の株は上がるばかりだ。

 有名人や政治家など、著名人にとって言葉は両刃の剣だ。対応を間違えるとバッシングの嵐となる。特に政治家にとって言葉は、自身や政策をアピールし支持を得るための武器である。特に問題が生じたり疑念を持たれた時こそ、この武器をどう使うかで政治家としての技量が計れるのではないだろうか。三田さんとは対照的に、最近、株を下げまくっているのが岸田文雄首相だ。

 今、岸田内閣の背中には、閣僚たちによってせっせと藁が積まれている。中でも”頑張っている”のは、旧統一教会の関連団体が主催したイベントと国際会議への出席について問われたものの、「当時の資料が発見できず、出席の確認ができなかった」と返答しながら、「報道に出ているものを見る限り、私が出席したと考えるのは自然」とシラッと答えた山際大志郎経済再生担当相や、選挙公示日直前、生稲晃子参議院議員と共に関連施設を訪問していた萩生田光一政調会長だろうか。

 31日の会見で、旧統一教会との関係について陳謝し、党としての方針を決め、安倍晋三元首相の国葬について国民に見える形で質疑に応えると述べた岸田首相も、自身で藁を積んできた感じすらある。これまでも会見の度に”真摯に受け止め””丁寧な説明を”を繰り返すだけで、国民を納得させるだけの言葉はないからだ。

 支持率低下が続けば、岸田内閣の背中は益々重くなっていく。ラストストローを乗せないよう、閣僚の皆さんは気をつけましょう。

三田寛子

若かりし頃、振袖姿を見せる三田寛子

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