「事件以上に警察の対応が悲しかった。セカンドレイプを受けた気持ちになりました」とも語ったアキさん
デリヘル嬢はレイプされても仕方ない──そんな言い方にアキさんは深く失望したと話す。
「事件以上に警察の対応が悲しかった。セカンドレイプを受けた気持ちになりました。この日は被害届も受理されなかった」
アキさんはこの日のやり取りを録音しており、週刊ポストが音声を確認したところ、確かに刑事は一連の発言をしていた。
境署に刑事の言動について問うたが、「お答えすることはありません」(広報担当)とのこと。
茨城県警本部にも聞くと次のように回答した。
「個別事案の対応についてはお答えを控えます。被害届に対しては、被害者の立場に立って、その内容が明確な虚偽あるいは著しく合理性を欠く場合を除き、受理することとしています」(県民安心センター)
女性の性被害に詳しい佐藤みのり弁護士が語る。
「強制性交罪を成立させるには暴行または脅迫を立証しなければならず、性的サービスを行なう風俗業はその成立要件のハードルが極めて高い。プレイの一環として受け入れていたと主張されてしまい、泣き寝入りするしかないケースが多数あるんです。そもそも警察の動きが鈍いという問題もある。今回の刑事の発言は、性風俗産業従事者に対する警察の差別意識や認識の低さを表わすもの。決して許されません」
アキさんがうなだれる。
「市民を守るはずの警察が風俗嬢は守らない。私たちは誰を頼ればいいんでしょうか」
悲痛な声に警察が向き合う日は来るか。
◆河合桃子(ジャーナリスト)と週刊ポスト取材班
※週刊ポスト2022年9月16・23日号