芸能

『鎌倉殿の13人』座談会 予想を裏切ったうえで「こっちのほうが面白い」と思わせるその魅力

畠山重忠は次の“粛清”対象となるのか(C)NHK

畠山重忠は次の“粛清”対象となるのか(C)NHK

 またひとり、またひとりと、仲間だったはずの登場人物が消されていく異色の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。今回は大ファンだという女優の麻木久仁子、ものまねタレントの松村邦洋、コラムニストのペリー荻野の3氏が、“粛清シーン”の人間ドラマの魅力を大いに語った。【全3回の第3回。第1回から読む

 * * *
ペリー:今後の粛清シーンで注目なのは、北条時政(坂東彌十郎)との対決がいよいよ間近に迫っている畠山重忠(中川大志)です。

松村:同じ三谷幸喜さんの大河ドラマ『新選組!』との対比で、重忠を堺雅人の演じた山南敬助になぞらえる声がけっこう多いんです。山南は筋の通った好人物で、土方歳三の強引なやり方に反発して脱走し、最期は切腹する。

 中川さんは三谷さんに「山南のビデオをよく見ておいてくれ」と言われてたんじゃないですかね。彼の目の動きは、堺さんが「悔やむことはない」と言った時のモノマネです。僕にはわかる。

麻木:アハハ、なるほどね(笑)。

松村:重忠は「なるほど」っていうセリフが多いんですよ。三浦義村(山本耕史)が何か言うと、「なるほど、さすが三浦殿」とか。だけど、今度ばかりはなるほどとは言わない。時政に自分の領地を奪われるから。そこにいかにも坂東武者という気概が見えますよね。

麻木:重忠は頼朝に「見映えがいい」と言われ続けて、ビジュアル押しの場面も多いから、粛清シーンにはカッコいい殺陣がガッツリ組んであるんじゃないかしら。

ペリー:でも、そうした予想をことごとく裏切ってきているのが『鎌倉殿』ですよね。視聴者を裏切って、常に「なるほど、こっちのほうが面白い」と思わせる。

 私は重忠には卑怯な手でカッコ悪く殺されてほしいんです。すると北条家の反対を無視して重忠を手掛けた時政に対して、「それはないだろう」と他の御家人からの反感が強くなり、後の時政追放につながるので。

麻木:確かにそうじゃなきゃ、義時が親を追放するところには行けないものね。私はやっぱり権力闘争には向いてない(笑)。

松村:夫・時政に重忠討ちを唆すりく(宮沢りえ)も、前半部分では意外に悪く描かれていなかったでしょう。でもそのうちすれ違っていく。政子(小池栄子)や義時が継母のりくと合わないのは仕方がないですよ。

ペリー:都に縁のある人と坂東の人の感覚の違いというのは、チラチラっと織り込まれていますね。りくも、ずっと都を見ているようなところがあって。だから、大事な息子・政範(中川翼)を都に出したんだと思う。都で政範が急死した時に、重忠が怪しいとりくに讒言するのが、京から下ってきた娘婿の平賀朝雅(山中崇)。都の人は徹底してむちゃくちゃ感じが悪いですよ(笑)。

麻木:政子は北条家で唯一、ダークサイドに落ちていない感じですけど、この先はどうなるんでしょう。

松村:政子はいい人としてあり続けて、後鳥羽上皇(尾上松也)と激突する承久の乱の時に、スピーチで幕府を救うんですよ。その「練習」シーンも、三谷さんは用意するんじゃないかな。政子が「朝廷側につきたい方は、どうぞついていただいて結構です」と言うと、義村が「そのような者はここにはおりません」と立ち上がる、そのタイミングも稽古を重ねるんじゃないかな。

麻木:政子にはスピーチのところまで“無罪”でいてもらわないと、一致団結できないものね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

手指のこわばりなど体調不安を抱えられている(5月、奈良県奈良市
美智子さま「皇位継承問題に口出し」報道の波紋 女性皇族を巡る議論に水を差す結果に雅子さまは静かにお怒りか
女性セブン
ちあきなおみ、デビュー55周年で全シングル&アルバム楽曲がサブスク解禁 元マネジャー「ファンの声が彼女の心を動かした」
ちあきなおみ、デビュー55周年で全シングル&アルバム楽曲がサブスク解禁 元マネジャー「ファンの声が彼女の心を動かした」
女性セブン
菅原一秀(首相官邸公式サイトより)と岡安弥生(セント・フォース公式サイトより)
《室井佑月はタワマンから家賃5万円ボロビルに》「政治家の妻になると仕事が激減する」で菅原一秀前議員と結婚した岡安弥生アナはどうなる?
NEWSポストセブン
「マッコリお兄さん」というあだ名だった瀬川容疑者
《川口・タクシー運転手銃撃》68歳容疑者のあだ名は「マッコリお兄さん」韓国パブで“豪遊”も恐れられていた「凶暴な性格」
NEWSポストセブン
民主党政権交代直後の政権で官房長官を務めた平野博文氏
【「年間約12億円」官房機密費の謎】平野博文・元官房長官 民主党政権でも使途が公開できなかった理由「自分なりに使い道の検証ができなかった」
週刊ポスト
『EXPO 2025 大阪・関西万博』のプロデューサーも務める小橋賢児さん
《人気絶頂で姿を消した俳優・小橋賢児の現在》「すべてが嘘のように感じて」“新聞配達”“彼女からの三行半”引きこもり生活でわかったこと
NEWSポストセブン
NEWS7から姿を消した川崎アナ
《局内結婚報道も》NHK“エース候補”女子アナが「ニュース7」から姿を消した真相「社内トラブルで心が折れた」夫婦揃って“番組降板”の理由
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【厳戒態勢】「組長がついた餅を我先に口に」「樽酒は愛知の有名蔵元」六代目山口組機関紙でわかった「ハイブランド餅つき」の全容
NEWSポストセブン
今シーズンから4人体制に
《ロコ・ソラーレの功労者メンバーが電撃脱退》五輪メダル獲得に貢献のカーリング娘がチームを去った背景
NEWSポストセブン
真美子夫人とデコピンが観戦するためか
大谷翔平、巨額契約に盛り込まれた「ドジャースタジアムのスイートルーム1室確保」の条件、真美子夫人とデコピンが観戦するためか
女性セブン
「滝沢歌舞伎」でも9人での海外公演は叶わなかった
Snow Man、弾丸日程で“バルセロナ極秘集結”舞台裏 9人の強い直談判に応えてスケジュール調整、「新しい自分たちを見せたい」という決意
女性セブン
亡くなったシャニさん(本人のSNSより)
《黒ずんだネックレスが…》ハマスに連れ去られた22歳女性、両親のもとに戻ってきた「遺品」が発する“無言のメッセージ”
NEWSポストセブン