国内

安倍氏国葬に「後継候補の実兄長男が欠席」 安倍家の「断絶危機」が表面化

政界から安倍家が消えるとなれば、安倍洋子さんはどう思うのか(写真/共同通信社)

政界から安倍家が消えるとなれば、安倍洋子氏はどう思うのか(写真/共同通信社)

「安倍家はどうなってしまうのか」──10月15日に営まれる安倍晋三・元首相の山口県民葬を前に、地元支援者から安倍家の後継者問題を不安視する声が上がっている。注目されたのは、安倍氏の国葬の際、参列した親族の中にある人物が見当たらなかったことだ。

 安倍家からは喪主の昭恵夫人、安倍氏の実兄の寛信氏夫妻、実弟で総理補佐官の岸信夫氏夫妻、そして岸氏が防衛大臣時代に秘書官を務めた長男の信千世氏と次男が参列した。だが、「安倍家のゴッドマザー」と呼ばれる母の洋子夫人と、寛信氏の長男と長女の姿はなかった。

 高齢で体調に不安があると言われる洋子夫人の欠席はともかく、寛信氏の長男の不在は参列した議員たちにも違和感を与えたようだ。安倍派議員が語る。

「洋子夫人が昔から寛信さんの長男を安倍総理の後継者にと期待していたことは派内ではよく知られている。本人にその気はないとも聞いているが、洋子夫人は安倍総理のお通夜で、衆院山口4区の補選について『孫を出す』と気持ちを語っていたそうです。

 だから実際に出馬するかどうかはわからないにしても、国葬が安倍家のプリンスのお披露目になるんじゃないかと注目していたが、岸家からは長男の信千世氏と次男がともに参列していたのに、寛信さんの2人の子供が出ていなかったのはどうしてだろうと話題になった」

 安倍氏の死去で欠員となった衆院山口4区の補欠選挙は来年4月に行なわれる予定だ。補選までは現行の選挙制度で実施されるが、今国会で1票の格差是正のために衆院定数を「10増10減」する区割り法案が審議され、成立する見通しだ。そうなれば次の総選挙から山口県の衆院定数は1減となり、選挙区が4から3に再編される。

「自民党王国」の山口県は1区・高村正大氏、2区・岸信夫氏、3区・林芳正・外相、4区は故・安倍氏と4議席全てを自民党が独占していたため、安倍氏が存命であれば定数削減に伴う“椅子取りゲーム”さながらの選挙区の奪い合いになるはずだった。だが、安倍氏の突然の死によって自民党の現職は3人となった。

 安倍家が安倍氏の父・晋太郎氏の初当選以来、60年以上にわたって築いてきた選挙地盤を守るためには、補選に安倍家から後継者を立てて当選させたうえで、その後の自民党現職同士の椅子取りゲームを勝ち抜かなければならない。しかも、有力候補とみられていた昭恵夫人は安倍派総会(7月21日)に挨拶に出向いた際、「私は補選には出ません」と伝え、補選の候補から消えている。安倍後援会関係者の話だ。

「安倍家の地盤である下関を中心とする4区は新区割りでは林外相の3区と事実上統合されて新3区となる。下関はもともと林家の地盤でもあるから、林さんは必ず新3区を取りに来る。

 安倍家で補選の候補者がまとまらなければ、ワンポイントリリーフとして系列の県議を出馬させてはどうかという話もあるが、代役では補選には勝ててもその後の選挙区調整で実力者の林さんには勝てない。安倍家が地盤を守り抜くためには身内から後継者を立てなければならない」
 
 洋子夫人が「孫の補選出馬」をめざしているのはそうした状況を一番よくわかっているからだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
【追悼】釜本邦茂さんが語っていた“母への感謝” 「陸上の五輪候補選手だった母がサッカーを続けさせてくれた」
週刊ポスト
有田哲平がMCを務める『世界で一番怖い答え』(番組公式HPより)
《昭和には“夏の風物詩”》令和の今、テレビで“怖い話”が再燃する背景 ネットの怪談ブームが追い風か 
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《過激すぎる》イギリス公共放送が制作した金髪美女インフルエンサー(26)の密着番組、スポンサーが異例の抗議「自社製品と関連づけられたくない」 
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト