食の欧米化と少子高齢化は乳がんのリスクファクターにもなる。中川さんが言う。

「乳がんの発症には女性ホルモンのエストロゲンが関係しています。妊娠・出産・授乳を経験した人ほど、エストロゲンの影響を受ける期間が短いため、乳がんになるリスクが低下する。いまは出産を経験しない人も増えました。加えて、栄養状態がよくなり、初潮が早く、閉経が遅くなっていることから、エストロゲンの影響を長く受けて、乳がんに罹患しやすくなっています」

 女性の社会進出が進み、飲酒率が上がっていることも増加の一因だとされる。

「仕事上のつきあいやストレス解消を目的にお酒を飲む女性も増えましたが、お酒の種類を問わず過度なアルコールの摂取はがんのリスクを高めます。また、ストレスもがんとの関連が疑われていますが、いまのところ結論は得られていません。アメリカでは乳がんが増加した際に、社会進出に伴うストレスが発がんに影響したのではないかと示唆されました。ただ、同じ欧米でも国によって研究結果はさまざまで一致していません」(井上さん・以下同)

 大腸がんと比較すれば罹患率は低いものの、肺がんも依然として命を落とすがん種として大きな割合を占める。喫煙は最大の要因であるが、その中で最近注目されているのが「加熱式たばこ」だ。

「日本では紙巻きたばこの代わりに加熱式たばこを使用している人も少なくなく、中には『紙巻きたばこと違って体に害が少ないと思っている』という声もある。しかし加熱式であってもニコチンや発がん物質を摂取することになるので、体への悪影響がなくなるわけではありません。

 日本は世界的に見ても加熱式たばこの消費量が多い。喫煙は低容量であっても、また受動喫煙であってもがん罹患リスクは高めます」

(後編へつづく)

※女性セブン2022年10月27日号

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