10月15日に行なわれた山口県民葬で安倍晋三・元首相の一連の追悼セレモニーが終わった。祖父の安倍寛・元代議士、父の安倍晋太郎・元外相、そして安倍氏と戦後政治に大きな足跡を刻んできた安倍家だが、安倍氏に子供はなく、後継者は決まっていない。
政界の名門・安倍家はこれからどうなるのか。東京では安倍家の“身辺整理”が始まっている。
〈2022年10月31日をもちまして閉店させていただきます〉
昭恵夫人が東京・神田で経営している和食居酒屋「UZU」のドアにはそう書かれた「閉店のお知らせ」の貼り紙がある。
この店は安倍氏が自民党総裁に返り咲いた2012年10月に開店し、昭恵夫人が地元・下関のUZU農場で育てた米や無農薬野菜の料理を提供して人気だった。同店関係者によると、「閉店までは予約客のみの営業となっていて、その予約もいっぱい」だという。
UZUの閉店は安倍氏の国葬(9月27日)の直後に告知された。
昭恵夫人が10年間続けた店をたたむのは、「昭恵さんは下関のFM局でパーソナリティを務めていたことがあり、地元で農場やゲストハウスの運営にもかかわってきたから友人も多い。当面は東京で高齢の洋子夫人(安倍氏の母)のお世話をするようですが、いずれは大好きな下関で夫の菩提を弔いながら過ごしたいという気持ちが強いようです」(後援会関係者)と見られている。
現在、昭恵夫人は渋谷区・富ヶ谷の自宅で姑の洋子夫人と暮らしているが、自宅は洋子夫人と安倍氏の実兄・寛信氏の所有で、昭恵夫人に相続権はない。
一方、下関市にある敷地約1000坪、延べ床面積633平米の安倍家の屋敷は安倍氏名義だったから昭恵夫人に相続権がある。
少なくとも、政界に出るために店を閉めたわけではなさそうだ。
来年4月には安倍氏の死で空席となった衆院山口4区の補欠選挙が行なわれる。昭恵夫人が固辞していることから、自民党県議などが後継出馬に意欲を見せている。
※週刊ポスト2022年10月28日号