当時、新日本プロレスにおいて猪木に次ぐ「次世代のエース」として団体からプッシュされ、華々しい活躍をしていた藤波に対し、前座のポジションに甘んじていた長州から飛び出したのが「かませ犬」発言だった。以降、2人はライバル関係となり、その対決は「名勝負数え歌」と呼ばれるようになる。ちなみに、実際には長州はレスリング五輪代表経験のある大卒エリートで、レスリング経験ゼロで中卒で入門した藤波こそが雑草だったわけだが、いずれにせよ野田氏が自分と安倍氏の関係を長州と藤波になぞらえたのは間違いない。
野田氏は2017年に千葉県・幕張メッセで開かれた「ニコニコ超会議」でその藤波と対談、そこでこんな発言もしている。
「藤波さんは、宿敵である長州力さんと信頼関係を持ちながら、ライバルとして激しい闘いをした。我々も同じ国の政治家同士、出した技にはちゃんと受けるということをお互いにやらないと。かわすばっかりじゃ、いかんと思うのです。蓮舫代表にも、自民党の安倍総理大臣といい論戦をしてもらいたい」(旧・民進党HPより)
今回のブログでは、自らと安倍氏との論戦をこう振り返っている。
〈本格的に相対したのは2012年11月、自民党総裁に返り咲いた安倍氏と、当時の内閣総理大臣であった私との党首討論でした。与党と野党第一党、党首同士が互いの持てるものを賭けた、火花散る真剣勝負でした〉
野田氏がプロレスを意識しているのは明らかだろう。
「野田さんの『かませ犬』発言は、決して自らを卑下して言っているわけではありません。むしろ安倍さんというライバルとの最後の『名勝負数え歌』にふさわしい追悼演説にしようという決意の表われでしょう」(同前)
追悼演説は25日にも衆院本会議で行なわれる予定だ。