日本シリーズ第1戦で無念の降板となった山本由伸(写真:JMPA/藤岡雅樹)
「140キロで速球」昭和のプロ野球との違い
昭和の頃は数年連続で200イニング以上放る投手も珍しくなかった。なぜ、現代の投手は故障に見舞われてしまうのか。
「当時は140キロを投げれば速球と言われた。今は150キロを超えるピッチャーがたくさんいる。その分、体に負担が掛かっているという見方はできるでしょう。160キロを投げる佐々木朗希が過剰に思われるほど球数制限をしながら登板しているのも、それが理由です。
山本由伸も最速159キロのボールを放りますし、2年連続で優勝のかかった厳しい試合で投げた。それも相当な負荷があったでしょう。また、パ・リーグは指名打者制のため、気楽に投げられる回がほとんどなく、負担が大きい。セ・リーグの場合、打撃力の弱いキャッチャーとピッチャーが打席に入る回は力をセーブして投げられることもありますからね」
セ・リーグでは最近4年間で180回以上放った投手はいない。阪神のメッセンジャーが2012年から5年連続、巨人の菅野智之が2016年から3年連続で180回以上を投げていたが、いずれも故障で記録が止まっている。
「山本の場合、昨年は11月末に日本シリーズが終わり、オフの期間も短かった。それでも中嶋監督が細心の注意を払って管理して、山本は2年連続で『投手5冠王』に輝いた。立派な偉業を達成しましたが、遂に故障してしまった。この例を見ると、来年以降、球界全体の完投数はますます減るでしょう。今後は200近い投球回数を放るピッチャーは出てこなくなるかもしれません」
球界のエースの故障は、野球界全体の投手起用にも影響を及ぼすかもしれない。