岸田文雄・首相の側近たちと旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係が次から次へと明らかになるなか、「この内閣ではもうダメだ」という声が上がり始めている。では、どういった布陣なら教団との関係を一掃できるのか。『自民党の統一教会汚染』が話題のジャーナリスト・鈴木エイト氏と本誌・週刊ポスト取材班が、旧統一教会との関係を断ち切るための“除染内閣”を組閣した。【前後編の後編。前編から読む】
旧統一教会は選挙支援する自民党議員との間で、「憲法改正・安全保障体制強化」「伝統的な家族観を重視する家庭教育支援法などの制定」「同性婚合法化を慎重に扱う」「日韓トンネルの実現推進」といった政策協定を結び、自民党の政策に関与していた。その影響が最も大きかったのが安倍政治だった。
安倍氏べったりだった政治家には、教団との関係断絶は難しい。逆に、反安倍勢力には教団との関係が薄い議員が少なくない。
その代表格が村上誠一郎・元行革相だろう。「霊感商法や家庭崩壊などの問題があると言われている団体から応援を受けるのはいかがなものかというのが私の判断です」と関係を否定しているが、安倍氏を「国賊」と呼んで国葬に反対したために自民党から役職停止処分を受けた。この村上氏を教団の霊感商法などを取り締まる国家公安委員長に起用すれば、「安倍政治からの決別」の姿勢を示すことができる。
重要閣僚にも、安倍氏と距離があった政治家を置く。
総務大臣にはベテランの船田元氏。教団イベントへ祝電を打っていたことが報じられるといち早くお詫びを出し、「自民党消費者問題調査会長として、いわゆる霊感商法などの悪質な取引を取り締まる立場にある」と教団監視を表明した。
外務、防衛政策は安倍支持派の影響力が強い。
そこで、防衛大臣には岸田派の小野寺五典・元防衛相。「教祖が韓国の人でその人が北朝鮮と交流をしていたとすると、日本からのお金が、教団を巡って北朝鮮に行って、それがミサイル開発で日本を脅してるとすれば、こういう流れはしっかり切ったほうがいい」(10月18日放送のTBSラジオ『生島ヒロシのおはよう一直線』での発言)という考え方の持ち主だ。外務大臣には岩屋毅・元防衛相を据える。安倍政権で防衛相を務めた保守派ながら、安倍支持派が防衛費2%への増額を主張していることを「最初に金額目標があり、乱暴なやり方」と批判するなど一線を画している。
経済閣僚では、財務大臣には安倍氏と長年のライバル関係にあった岸田派の林芳正・現外相を横滑りさせ、経産大臣には霊感商法に批判的な平将明氏をあてる。農水相には安倍派ながら反安倍勢力の福田達夫・前総務会長、「公明党枠」の国土交通大臣は同党の消費者問題対策本部長として霊感商法防止や被害者救済の提言をまとめた古屋範子・副代表が適任だろう。