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蛯名正義氏が語る「牝馬の秋」 図抜けて強かったスノーフェアリーの衝撃を振り返る

蛯名正義氏が「牝馬の秋」の思い出を振り返る

蛯名正義氏が「牝馬の秋」の思い出を振り返る

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、牝馬の秋についてお届けする。

 * * *
 牝馬の秋は、やはりエリザベス女王杯。今年も秋華賞馬スタニングローズや一昨年の三冠馬デアリングタクト、昨年の覇者アカイイトなど華やかなメンバーになりそう。加えて今年のアイルランドオークスを勝った3歳牝馬マジカルラグーンが来日。外国からの参戦は、2010年、2011年と連覇したスノーフェアリー以来とのことです。

 スノーフェアリーは2010年にイギリスとアイルランドのオークスを勝っており、この後12月の香港カップも使うということで来日したのだと思います。名手ライアン・ムーア騎手に騎乗依頼をしていたので、それなりに強い馬だろうと思っていました。しかし、すでにジャパンカップでは日本馬が当たり前のように勝っていたので、それほど警戒感はなかったと記憶しています。この時は三冠を獲った後のアパパネが1番人気、スノーフェアリーは4番人気でした。

 正直言ってあそこまで強いとは思わなかった。今考えれば、日本の馬場に合うという確信があったのでしょう。レースでは道中ずっと併走していたのですが、直線ではスノーフェアリーが内に切れ込みながらの凄まじい末脚を見せて、あっという間に6馬身ほど離されました。この後の香港カップも勝ったように、図抜けて強い馬でした。

 だから翌年も来日すると聞いたとき、「また来るのかよ!」と(笑)。一方、アパパネは春のヴィクトリアマイルで、一つ年上のブエナビスタと究極の勝負をして負かせて心身ともに使い切った感じでした。女の子は気持ちがあるうちは強いけれど、それがなくなったら厳しいということを実感したものです。それでも3着に頑張りましたが、スノーフェアリーにはやはり凄まじい末脚を見せつけられました。

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