ライフ

【オバ記者が病床に伏して考えたこと・第2回】検査を後回しにしていた理由

手術当日の朝、同じ手術を経験した先輩から「まな板の上の鯉になればいいのよ」と声をかけられた

手術当日の朝、同じ手術を経験した先輩から「まな板の上の鯉になればいいのよ」と声をかけられた

 元気な笑顔がトレードマークの「オバ記者」こと野原広子さん(65才)。女性セブンの名物ライターとして活躍する彼女が、“卵巣がんの疑い”と診断された──。オバ記者が綴る、病の床からの回想レポートです。【第2回。第1回から読む

 * * *
「いつ異変に気づいたの?」

 これは今回診察を受けた3人の女医さんと何人かの友達から聞かれたことだ。だけど、そのたびに言葉に詰まる。

“異変”といえば、これも異変、あれも異変。65才の体が50代と違うのは当たり前という気もするけれど、何がどう違うかというと、すごく説明がしにくいんだわ。

 初期症状でいえば、50代後半になると分泌物の色がおかしいような気がするし、下腹部が熱っぽいような気もする。

 睡眠障害にも悩まされていた8年前、近くの婦人科医院に行ったら「う~ん、卵巣がちょっと腫れてますね」と漢方薬を処方してくれた。「なぜ腫れるんですか?」と聞いたら、80過ぎた老医師は「ま、加齢でしょうね」だって。

 その少し後、60才の記念に人間ドックを受けたときには、「子宮はきれいですけど、3cmほど卵巣が腫れています。いますぐ治療をするレベルではないので様子を見ましょう」と言われたっけ。

 いま思えば、「腫れている」という言葉を3、4年の間に2回言われていたんだよね。その言葉を重く受け止めて、半年、いや、せめて1年に1度でも経過観察として検診を受けていたら、「卵巣がんの疑い」には至らなかったはずだ。

 その後、私は手術台の上に体を預けることになるんだけど、「閉経を過ぎた自分が婦人科の深刻な病にかかわることはない」と勝手に思い込んでいた。

 仕事が忙しいとか、家系的に重い病気にならないだろうとか、都合のいい理由を並べて、自分の体と正面から向き合わず、後回しにしていた。それが悔やまれてならない。

 後悔先に立たずという言葉が身に染みる。反省しているいまの自分が、そのときの自分を厳しく叱ってくれていたら、と思う。

 とはいえ、検査を後回しにした“もう1人の私”には私なりの言い分がある。

 人間ドックを受けたとき、最も強く言われたのは「高血圧と肥満」で、卵巣は少し腫れているとは言われたけど、「子宮はきれいです」とキッパリ言われたんだから。

 なので、血圧の方は近所の個人病院を受診して薬を処方してもらった。その3年後に「心房細動」という心臓をわしづかみにされるように痛い心臓発作を起こしたから、心配はますます心臓に集中した。

 そして気がついたら婦人科検診は丸5年、受けていない。つまり、上半身を心配して下半身を忘れたのよね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
イセ食品グループ創業者で元会長の伊勢彦信氏
《小室圭さんに私の裁判弁護を依頼します》眞子さんの“後見人”イセ食品元会長が告白、夫妻のアパートで食事した際に気になった「夫としての資質」
週刊ポスト
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン