決して他人事ではない

病の床からの回想レポート

 そんな私が「ん? おかしくないか!?」と、下半身に注意を向けたのが昨年8月。

 茨城の実家に帰省して、ほぼ寝たきりの母親(当時93才)のシモの世話と食事づくりをすることになってからのこと。下腹がポコンと膨らんで、船底みたいな形になっているのに気づいたのよ。

 だけどそれも一瞬のことで、母から「トイレぇ~」「冷てえ水」などと所望されると反射的に立ち上がってしまうから、自分の体どころではない。

 近くに住む弟が時折、介護を代わってくれる数日間、私はグロッキー。空腹になれば起き出してコンビニご飯を食べ、あとは昏々と眠るだけ。

 その疲れ方もいま思うと異様だったけど、介護1年生の私は、そんなものだと思って疑わなかったんだわ。

 その頃からよ。やたら左側の腰が痛くて、湿布薬を手放せなくなったのは。

 肩も背中もゴリゴリに固まって痛い。それでマッサージ店で定期的に施術を受けるようになったら、セラピストの女性の顔が日ごとにこわばってきたんだわ。なにせ、施術時間を90分から120分に延ばしても、体の芯は一向に硬いままだったから。

 そのうち、朝方に目が覚めると、下にして寝ていた方の肩と腕が「イタタ」と声が出るほど痺れて痛くなった。そして痺れが落ち着いてからそっと寝返りを打ったら、張り出した下腹の中身が下に動いたのよ。

 その頃、口の悪い友達から「また太った?」と言われたけど、それまでの太り方とは明らかに違うんだよね。

 試しに4~5日、食事の量を半分にしても体重が減らないってどういうこと? と同時に、気力がまるで湧かない。予定のない日は一日中、ベッドから離れられない。

 そして今年の5月、6月。下腹部はますます張り出してきて、鏡を見ると絵にかいたような太鼓腹。

 それだけじゃない。7月になると、生理痛に似ているけれど、それにしてはまるで重みのない痛みが断続的に出てきたの。さらに、尿のチョビ漏れが目立ち、パンティーライナーが手放せなくなった。

「これは普通じゃない」

 ハッキリとそう自覚した。

(第3回につづく。第1回から読む

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/空中ブランコや富士登山などの体当たり取材でおなじみ。昨夏から故郷・茨城で母を在宅で介護し、今春、看取った。

※女性セブン2022年11月24日号

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