最上階でも「階段」を使う
食事は栄養学の知識のある妻が、連れ添って54年、工夫し続けてくれたと感謝しています。
10年ほど前、72歳の頃に前立腺がんの手術をしており、その影響と老化の両方を感じることはあります。ただ、現在までがんの再発もなく、夜に眠れないということもありません。
専門である糖尿病こそないものの、高血圧など基礎疾患はそれなりにあります。薬もいくつか飲んでいますが、必要な薬を必要な分だけ飲んで、それによって数値をコントロールしています。
そうして考えると、朝9時に出勤して夕方5時に帰るフルタイム勤務によって生活リズムが整っているのは健康につながっているかもしれません。
運動も特にしていませんが、生活の中で「階段」を使うことを、もう数十年ずっと意識しており、今の勤め先でも最上階の8階までできるだけ階段を使うようにしています。
専門の糖尿病についてですが、日本人は比較的インスリンの働きが弱い人が多く、そうした人が肥満になると、糖尿病が発現しやすくなります。欧米の人は太っていても糖尿病にならない人がいますが、日本の場合は、太らなければ糖尿病にならずに済んだ患者さんが目立ちます。適正体重を維持することが大事です。
太らないためにカロリー制限は必要ですが、高齢になると、なるべく筋肉は減らさないようにしなければいけません。そのためには運動もしつつ、タンパク質をしっかり摂ることが大切です。一方で炭水化物などの糖質は余ると脂肪になり、インスリンが出にくい体質の人は糖尿病につながる可能性があるので、過剰に摂ることは控えたほうがいいでしょう。
私自身も、食事などでコントロールして標準体重の70kgを超えないように注意しています。
タンパク質を摂って糖質を制限することが寿命を長くするかは不明ですが、糖尿病になるかならないかの視点からは、糖質は控えめにすべきです。
※週刊ポスト2022年12月2日号