ライフ

皆既月食で“開眼”? 「月」を詠んだ自由律俳句が奥深い

11月8日の皆既月食。天王星食も観測された

11月8日の皆既月食。天王星食も観測された

 11月8日夜の皆既月食は、日本の広い範囲で比較的観測しやすい時間帯に見られた久々の天体ショーだった。長時間、月を眺めて過ごすことに“開眼”した人も多かったようで、SNSにもたくさんの月食の写真があふれた。

 月は、四季折々に風情があり、多くの短歌・俳句に詠まれているが、その中でも自由律俳句の中に印象的な名句が少なくない。“放浪の俳人”と呼ばれ、ずっと月を眺めて過ごした放哉・山頭火の代表句からいくつか紹介する。

 * * *
 自由律の代表的な俳人、尾崎放哉(1885-1926)と種田山頭火(1882-1940)。残されている句の多くは大正・昭和期の作品だが、いま読んでも決して古さを感じさせない普遍性がある。

 月を詠んだ自由律の名句といえば、放哉の次の一句がよく知られている。

「こんなよい月を一人で見て寝る」 放哉

 これは、神戸の須磨寺で太子堂の堂守をしていた時期に詠まれたものだ。肋膜炎を患い、社会から脱落して、「独居無言」の生活を求めた放哉は、一人で月と対したのだった。

39歳の放哉。神戸・須磨寺大師堂の前で(写真提供:鳥取県立図書館)

39歳の放哉。神戸・須磨寺大師堂の前で(写真提供/鳥取県立図書館)

 あるいは、山頭火にはこんな月の句がある。

「どかりと山の月おちた」 山頭火

 まさに先日の皆既月食の前後に見られるような、まん丸の大きな月を連想させるが、この句が詠まれたのは、9月半ばごろ。秋にふさわしい名月を詠んだものと思われる。

48歳、阿蘇山にて行脚姿の山頭火(写真提供:春陽堂書店)

48歳、阿蘇山にて行脚姿の山頭火(写真提供/春陽堂書店)

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト