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W杯敗退の日本代表、クロアチア戦で心理士が感じた「一緒に戦う」難しさ

決勝トーナメント1回戦・日本-クロアチア。前半、先制ゴールを決める前田大然(手前、時事通信フォト)

決勝トーナメント1回戦・日本-クロアチア。前半、先制ゴールを決める前田大然(手前、時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、サッカーW杯カタール大会での日本代表応援で「12番目の選手」として一緒に戦う難しさについて。

 * * *
 サッカーワールドカップカタール大会、決勝トーナメントに出場した日本代表選手団が帰国した。空港には650人あまりのファンやサポーターと約190人の報道陣が出迎えた。1回戦で、クロアチアにペナルティーキック戦で敗れ、ベスト8に進出することができなかった選手たちは、投げつけられるような批判を覚悟していたかもしれない。だが彼らの姿に拍手と「ブラボー」の声が飛んだ。心温まるほっと瞬間だっただろう。

 さてその試合、観戦しPK戦に突入した時、じんわりと嫌な予感に襲われた。おそらく試合を見ていた多くのサッカーファンや視聴者の脳裏にも、12年前のFIFAワールドカップ南アフリカ大会、パラグアイ戦でのPK戦敗退がよぎったのではないだろうか。どうかその予感が的中しないでくれと願ったのだが、日本代表はベスト8に進出することはできなかった。

 振り返ればこの試合、最初に悪い予感がしたのは、前回大会準優勝のクロアチア相手に前半、前田大然選手(25才)が先制点を決めた時だった。これは幸先がいいなと勝利への期待が高まった一方、根拠のない不安がこみ上げてきた。LIVE中継で試合を実況する誰かが「日本はゲームプランをどうするのか」という主旨の発言をした。不安の種はここにあった。

 ワールドカップ予選、グループEを首位通過した日本代表の試合は、連日のように熱く報じられた。歴史的勝利と騒がれたドイツ戦もスペイン戦も、前半に先制点を許したものの後半に逆転するというゲームだった。勝つはずだと思われたコスタリカ戦は、前半に試合が動かず、後半にゴールネットを揺らされ負けてしまった。3つの試合から、自分の中では、前半に1点許しておいて、後半に逆転するという劇的な試合展開が、今回のワールドカップ、日本代表の勝利の法則的なものとしてイメージされていた。人は失敗した話より、成功した話のほうに注目し、そこから成功法則を導き出そうとするものだ。

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