芸能

高田文夫氏がぶっちぎりで夢中 コント55号を思わせる「モグライダー」

高田文夫氏が夢中のモグライダー(イラスト/佐野文二郎)

高田文夫氏が夢中のモグライダー(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、高田氏がいま夢中になっている、お笑いコンビ・モグライダーについてつづる。

 * * *
 18日に開催。今年の『M-1』には予選で落ちちゃったから出られないが私はぶっちぎりで「モグライダー」に夢中である。

 見れば本物のボケだなとすぐ分かる頭の悪そうな顔をしているのがともしげ。芸風的には古くは間寛平、ジミー大西、ウド鈴木の系譜なのだが人が悪い。今あげた3人はおバカだが人間的に良い人という評価。ともしげは人一倍、人が悪い。人格に問題があってひたすら腹黒い(これが面白い)。番組などで他の芸人が失敗すると平気で大笑い。たしなめられるとずっと思い出し笑いをしてしくじりを噛みしめている。この難しい手綱を捌いているのがつっこみの芝。惚れぼれする的確なつっこみをみせる。今ではプロが裏で集まると「芝はうまい」「あの若さであの間で入るとは」と大絶賛。

 どうしても会いたくてやっと私のラジオに来てくれた。なんたって今どきいないリーゼントである。昔なつかしい匂いがした。私の高校時代なぞ男子校で頭もさほど良くなかったから仲間はみんなリーゼント。ジェームス・ディーンとエルビス・プレスリーに憧れた世代である。リーゼントの流れは宇崎竜童へわたり、横浜銀蠅、そして横山やすし、島田紳助である。「なんか都下の不良みたいだネ?」と問えば「いやすごい田舎者なんですよ。愛媛県のずっとずっとはずれ。寝返り打ったら高知県ですよ」。うまい! この言いまわしが気がきいている。寝返り打ったら高知県。なかなかあの年齢で内藤やす子のようなことは言えない。

 ネタはいつもぶっつけ本番でともしげにやらせて、それを訂正していく。テレビで「3分」とか「5分」とか言われても時間通りできない。たいてい尺が長すぎてしまう。全盛期の“コント55号”の作り方をイメージすれば良い。私は心の中で秘かに5年後にはテレビ番組の相当数を芝が仕切っていると予言する。なにがいいかと言うと決してものおじしないところである。肝がすわっているのだ。

 古い演芸も活性化。講談の神田伯山、女流浪曲の玉川奈々福の活躍である。私のラジオで「来年2月、GINZA SIX地下の能楽堂で奈々福の独演会があって、私もゲストで出るんだよ」みたいな話をしていると、つい私の口から浪曲、あの広沢虎造の『清水次郎長伝・石松代参』が口をついて出てうなってしまった。昔は銭湯で全員うなってましたよ。しかし若いスタッフはポッカーン。誰ひとり私の浪曲にふれられる人間がいなかった。夕方FAXがカタカタ「虎造、節まわし、みごと。完璧。奈々福」とあった。きく人がきけば分かるのだ。

※週刊ポスト2022年12月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン