“ファミリー感”からファンを広げる
『ラヴィット!』は開始から約1年9ヶ月が経過している。既に何度か改編期を超えているが、多くの帯番組で行われるレギュラーメンバーの入れ替えがない。
「帯番組の定石として考えないことはないんですけど、本当に苦しいところから始まって、試行錯誤しながらここまで来た番組なので。その時期を一緒に戦ってきてくれたことに恩義みたいなこともありますし、なにより、スタジオの雰囲気を含めて、そのファミリー感が今は良い方向に作用していると思うんです。そこは大事にしている部分なんで、今のところ入れ替えなどは考えてないですね。もちろん、演者さんが忙しくなってもう出続けるのは難しいみたいな事情が出てくるかもしれませんが」
いまやテレビは、ずっとついていてなんとなくどのチャンネルを選んで流している時代ではなくなったと辻は言う。ネット配信など様々なコンテンツがある中で、積極的にテレビをつけて、なおかつ、その時間にチャンネルを合わせてもらわなければならない。見てもらうには、番組の「ファン」になってもらうことが不可欠だ。
「これほどコンテンツがあふれている中で、継続的に週10時間ちゃんと見てくれている方もたくさんいるんで、やっぱり『ラヴィット!』を好きでいてくれる人が喜ぶ仕掛けを積極的にやっていきたいと思っています。それは内輪受け批判みたいなことと背中合わせな部分もあると思うんですけど、逆にそれは過度に気にせずに、この番組を好きでいてくれる方々を大切に、そしてその数を増やせるように番組を作っていきたいと思ってます」
【プロフィール】辻有一(つじ・ゆういち)/1983年生まれ。2006年にTBS入社。営業や編成を経て念願のスポーツ局を3年間経験。現在はバラエティ制作局にて『ラヴィット!』、『坂上&指原のつぶれない店』、『それSnow Manにやらせて下さい』を担当。
◆取材・文/てれびのスキマ 1978年生まれ。ライター。戸部田誠の名義として著書に『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『タモリ学』(イーストプレス)、『芸能界誕生』(新潮新書)、『史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989』(双葉社)など。