スマホが普及し自撮りが普通のこととなり、加工も当たり前になりつつある。自撮りする河野太郎デジタル相(イメージ、時事通信フォト)

スマホが普及し自撮りが普通のこととなり、加工も当たり前になりつつある。自撮りする河野太郎デジタル相(イメージ、時事通信フォト)

黒く塗りつぶされた卒業アルバムの写真

 卒業アルバムの写真が「盛れていない=かわいく映っていない」と感じた子供が、卒業アルバムを塗りつぶしたり、自分が映っている部分を破りとってしまった……そんな事例もある。女子高校生の子供を持つ、都内在住の主婦・本田美枝さん(仮名・40代)が振り返る。

「中学の卒業式直前、生徒に卒業アルバムが配られたということで、私も娘が持ち帰るのを楽しみにしていたんですが、教室に忘れたとか、友達に貸したとか言ってなかなか見せてくれない。誰かに盗られたんじゃないか、アルバムに心ないメッセージを書き込まれていじめられてるんじゃないのか、真っ先にそう考えました」(本田さん)

 しかし、娘の部屋を掃除していた本田さんは、学習机の棚にアルバムが置いてあるのを発見。いじめられていないのか、不安な気持ちに駆られながら覗くと、娘の映る部分が全て、黒いマジックのようなもので塗りつぶしてあったのだ。

「いじめに違いないと思って娘に聞いたところ、全部自分でやったと言われて驚きました。そういえば、娘はいつも、自分の髪が癖毛なのはママのせい、不細工なのはパパのせいだといって不満を漏らしていました。ネットゲームが趣味で、同い年の女子生徒の友達に写真を送るんだと、平日の真夜中にもかかわらず化粧をして、髪型までセットし、明るいライトの下でああでもないこうでもないと写真を撮っていたこともあります。やめろと言っても聞かず、パパやママのせいだと言われたら悲しくて……。ここまでエスカレートして、もうなんと言っていいものか途方に暮れています」(本田さん)

 プロが撮影して雑誌などに掲載される写真や、出版社が発売する写真集などでも修正は行われている。だが、それは高性能カメラによる撮影で細かく写りすぎるモノ、たとえば毛穴や打ち身などによって生じる肌色のムラ補正などがもっぱらだ。この補正も、プロの手によって細かく丁寧に行われる。ところが、主にSNS投稿のためにスマホ撮影される写真は、目を大きくしたり足を長くしたりという加工が施されており、その加工も無料アプリで誰でも簡単にできてしまう。それも度が過ぎて、ファンやネットユーザーから批判があがることも珍しくない。

 アイドルや人気タレントなど、見た目がよいことで仕事をしている人たちであっても、SNSにアップする自身の写真は加工済み、というのが普通になってしまっている。何もしないときは、わざわざ「加工なし」などとコメントやハッシュタグに記してアピールすることがあるほど、アプリの力を借りて修正するのが当たり前、という時代だ。

 色々と疑問視されている、主にSNS向けのポートレート写真加工だが、自分の顔写真を加工することそのものをめぐっては、過去にも不自然な現象が起きている。

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
このほど発表された新型ロマンスカーは前面展望を採用した車両デザイン
小田急が発表した新型は「白いロマンスカー」後継だというけれど…展望車復活は確定だが台車と「走る喫茶室」はどうなる?
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン