スポーツ

蛯名正義氏が明かす厩舎の一日「世間と同じ8時間労働。休日もしっかりとる」

2023年の2戦目で初勝利。杉原誠人騎手に導かれたエッセレンチは、父シルバーステート、母は桜花賞にも出走したメイショウスイヅキという期待馬(1月9日)

2023年の2戦目で初勝利。杉原誠人騎手に導かれたエッセレンチは、父シルバーステート、母は桜花賞にも出走したメイショウスイヅキという期待馬(1月9日)

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動している。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、厩舎の一日についてお届けする。

 * * *
 関東の厩舎はすべて茨城県の霞ケ浦近くにある「美浦トレーニング・センター」内にあります。東京ドーム48個分ということなので相当広いですよね。ここに1周最大2000mの馬場や全長1200mの坂路調教コース、その他リラックスさせるための森林馬道やスイミングプール(馬のです)、そして100棟以上の厩舎があります。詳しくはJRAのホームページを見てください。施設案内の動画なんかもあります。

 今回は特に競馬が行なわれない日、我々がこのトレセンでどういう時間を過ごしているかについてお話ししましょう。

 全休日(通常は月曜日)を除いて朝は冬なら7時から馬場が開くので、スタッフは5時ぐらいには厩舎に来て調教の打ち合わせや準備、ウォーミングアップなどをします。

 僕はみんなが出揃ったころに顔を出して、まずは厩舎にいる16頭に一通り挨拶して回ります。ジョッキー時代は、いろいろな厩舎で乗っていたので立ち寄ったついでに顔を見る程度。落ち着いて一頭一頭と向き合うことはなかったけれど、今は朝だけじゃなくて、スタッフがいない時なども馬房の方を覗いて、何か変わったことはないかを観察します。こちらに寄ってくる子もいれば、横になっている子もいる。そんな子には「いいから、寝てろ寝てろ」って言います。なかには噛みつこうとする子もいる。僕があれこれ指示して走らせているんだってわかっているのかもしれない(笑)。馬の「素」の姿を見ることで、自分の厩舎なんだという思いを噛みしめている感じでしょうか。

 午前中は5時間ぐらい調教や運動をしていったん解散。その後に朝食(ブランチ?)です。騎手時代も調教師になってからも食事はこの時と夜の1日2回です。朝が早いので、昼寝をしているスタッフも多いんじゃないかと思います。

 で、午後は2時頃から5時頃まで軽い運動、馬体のチェックや厩舎作業です。また、週に1回、水曜日のこの時間には全員でミーティングをします。せいぜい15分ぐらいですが、ちょっと気が付いたことや、念押ししておきたいことを話します。スタッフからの提案なども、なるほどと思えば、どうしたらいいのか話し合ったりします。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン