国際情報

強盗事件が多発!かつて事件を起こした外国人窃盗団、警察の地道な捜査と犯罪人引渡し条約で逮捕されるまで

2003年1月、強盗殺人事件が起きた社長自宅自宅周辺を検証する警視庁の捜査員。当初はアジア系外国人4人組の男らと見られていたがのちに6人組と判明した(時事通信フォト)

2003年1月、強盗殺人事件が起きた社長自宅自宅周辺を検証する警視庁の捜査員。当初はアジア系外国人4人組の男らと見られていたがのちに6人組と判明した(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、出入国を頻繁に繰り返す外国人窃盗団メンバー逮捕の難しさについて。

 * * *
 関東各地や西日本で相次いでいる強盗事件は、SNSで高額の報酬を提示して強盗の実行役を募る「闇バイト」が背景にあるという。そのため集まったメンバーらは互いに面識がなく、寄せ集めのメンバーによる犯行だと報じられている。

 だが2000年代に入り日本国内で多発していた外国人犯罪グループによる強盗事件は、寄せ集めのメンバーではなく、実行犯も含めた組織的な犯罪グループだった。

 2003年1月、東京都世田谷区の会社社長宅に複数人の男が侵入して社長を殺害、現金や貴金属など合わせて約2400万円を奪うという強盗殺人事件が発生した。事件を起こしたのは韓国人窃盗団だ。

 彼らは韓国国内で取り締まりが強化された時期、楽に大金を稼げると来日しては窃盗を繰り返していたのだ。窃盗団には定着する住処がなかったため、昨日は東京、今日は名古屋、明日は京都といった具合に場所を変えて犯行を繰り返していた。それが日本の警察の捜査を遅らせていたという。警察組織は都道府県ごとに管轄があり、数県にまたがる犯罪にはなかなか対応できなかったのだ。

 米国のFBIのような組織があればよいが、当時の状況では捜査が後手に回っていたと、外国人犯罪捜査に詳しい元刑事はいう。その後、組織犯罪対策本部が設置されたのだが、それでも各県警との連絡を密にして、情報を蓄積、地道な捜査を繰り返して、犯行グループに行きつくしかなかったという。
 
「捜査していくと、手口やら目撃証言などから、犯人グループはアジア系だとわかった。さらに情報を収集していくと、この窃盗団は金持ちの家を狙って、何十件も強盗をやっていた韓国人グループと判明した」(元刑事)

 多発する事件を前に、事件解決の糸口をどのように見つけたのかと聞くと元刑事は「同じグループの犯行ということは、同じような所で盗品を処分している可能性があるということだ。まずそこを重点的に捜査する。外国人の窃盗グループが盗品をいつ、どこで処分したか。それがわかれば、今度は盗品を買った店を当たる。証拠品が店になければ、今度は誰が買ったのかを調べ、証拠品を抑える。買い取りをする店や質店には、古物商として帳簿をつけておく義務があるため、簡単に犯人に行きつくこともある」

 ところが事件の被疑者が分かっても、すでに犯行メンバーは全員が韓国に帰っていた。「犯行直後に帰国するのは、こうした外国人犯罪者の常套手段。逃げられると外国人犯罪の捜査は長期戦になりがちだ」と元刑事は話す。

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン