アサヒ飲料グループ労働組合連合会で講演する松永拓也さん
交通事故と誹謗中傷は似ている
冒頭で紹介した侮辱罪の刑事裁判判決が出た日、松永さんは、インターネットにおける誹謗中傷問題について「厳罰化は悪いことではないけれど」と前置きしたうえで、教育の重要性を訴えた。
「ネットが出てきてから情報リテラシーやモラルの必要性が言われてきましたが、現状、機能しているのだろうかと疑問に思うときもあり、教育が大事だと感じています。もし侮辱されて苦しんでいるのなら、ぜひ行動してみて欲しい。行動するのが難しくても、相談できるところがあるということを知って欲しいです」
今後、松永さんは同じ誹謗中傷発言について民事でも訴え、被告人だけでなく、社会に対しても誹謗中傷について問うていくつもりだ。同時に、交通安全のための活動も続ける。1月27日には、社用車を運転することが多いというアサヒ飲料グループ労働組合連合会が主催する組合員向けに講演を行った。そこで松永さんは「見知らぬ人同士が突然、加害者と被害者になってしまう交通事故と誹謗中傷は似ています」と、どちらも防止する重要性を訴えた。
交通事故も誹謗中傷も、すぐに発生ゼロとはならない問題だろう。だが、その発生のメカニズムや、理不尽さを学ぶことで加害者の出現を減らしていけば、きっと新たに被害に遭う人も少なくなってゆくはずだ。
文・横森綾