結果的に鹿島氏の探検は幾つかの課題を残したまま終わるが、「実際の番組でも不透明決着は多く、メタ的でいいかな」と彼は笑う。
「結局僕が会ってきたのも、過程やそれを見せることに熱中できた人達なんですね。埋蔵金に関して糸井重里氏が〈あるとしか言えない〉と言ったのはまさに至言で、そこにお宝はなくても穴はあり、しかもその〈3センチ向こう〉には何があってもおかしくない。その3センチ先の遊び心を信じられるかどうかも、昔とか今は関係なく、当人の問題ですから」
探検隊やプロレスに熱中する自分を隠し、ひたすらその熱を孤独に温めた少年は、だからこそ本書の佳き書き手となり得たのだろう。好きの力はやっぱり尊くて偉大だ。
【プロフィール】
プチ鹿島(ぷち・かしま)/1970年長野県生まれ。大阪芸術大学芸術学部放送学科卒。お笑いコンビ「俺のバカ」等を経て、現在は時事芸人として幅広く活躍中。趣味は新聞14紙の読み比べ。2019年にニュース時事能力検定1級合格。著書は他に『教養としてのプロレス』『お笑い公文書2022こんな日本に誰がした!』等。2月18日にはラッパーのダースレーダー氏との監督・主演作品『劇場版センキョナンデス』がポレポレ東中野と渋谷シネクイントで公開。その後全国にも。157cm、58kg、O型。
構成/橋本紀子 撮影/国府田利光
※週刊ポスト2023年2月10・17日号