スポーツ

高校野球の名門・PL学園、国公立コース「受験者ゼロ」に さらなる窮地へ

2016年夏の大阪大会を最後に、硬式野球部の復活は休部に

2016年夏の大阪大会を最後に、硬式野球部の復活は休部に

 桑田真澄、清原和博ら数多くのプロ野球選手を輩出した高校野球の超名門として知られるPL学園。硬式野球部は2016年夏に休部となり、復活を願う声は多いが、その道のりが果てしなく険しいであろう新事実が明らかになった。『永遠のPL学園』(小学館文庫)などの著書があるノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。【前後編の前編。後編を読む

 * * *
 春夏あわせて7度の甲子園制覇を誇り、「永遠の学園」と校歌に謳われたPL学園(大阪府富田林市)の灯が消えようとしている。

 2月10日に行われた2023年度の入試の日、近鉄喜志駅から徒歩15分の同校は人の出入りがまるでなく、校門脇の警備員室の担当者が直立しているだけだった。「試験会場」の立て看板もなく、高校進学に胸を昂ぶらせた中学生の姿はない。

 大阪私立中学校高等学校連合会が公表した入試出願状況によると、今年のPL学園の国公立コースの競争倍率は0倍――つまり、ひとりの受験者もいなかった。

 もうひとつの理文選修コースも、89人の外部募集に対し、専願3人、併願4人の志願者しかおらず、競争倍率は0.08倍だ。ちなみに、前年度の受験者も国公立コースが1人、理文選修が2人という窮状だった。

 もちろん、系列のPL学園中学からの内部進学者はいる。それでも現在のPL学園高校の生徒は3年生40人、2年生20人、1年生15人で、3学年あわせても75人しかいない。中学校も3年生27人、2年生9人、1年生7人の43人。中高共に、学年が下がるごとに目減りしており、高校も数年後には一学年に一桁の生徒しかいない時代を迎えるかもしれない。

 生徒減少に歯止めをきかせられないPL学園に対し、大阪の私立高校を管轄する大阪府教育庁の私学課から何かしらの「指導」が入ることはあるのだろうか。私学課の担当者はこう説明する。

「PL学園に限らず、大阪府の私立学校さんとは、適切に教育をしていただけるよう常に会話はしています。私立学校は建学の精神に基づいて学校運営を自主的にやっていただくことが求められる組織です。生徒数が極端に減っているからといって、私学課から何かしらの指導をするようなことは基本的にはありません。ただ、(税金から支払われる)助成金に関しては、概ね生徒数に応じて金額が決まるので、他の学校と比べれば少ないかと思われます」

 PL学園は宗教法人パーフェクトリバティー教団を母体とする学校だ。KKコンビ(桑田真澄、清原和博)が5季連続で甲子園に出場し、立浪和義らが春夏連覇を達成した1980年代の黄金期には、定時制の生徒を含め1000人以上の生徒が敷地内の寮で共同生活を送るマンモス校だった。

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン