教団や学園の敷地は広大で、シンボルとして大平和祈念塔がそびえ立っているが……
熱心な信者の2世、3世ばかりに
そして、同校に入学するためには入信する必要があった。PLのナインは打席に入る際、ユニフォームの下にぶらさげていたアミュレット(御守り)を握りしめ、「いつものプレーができますように」と祈りを捧げて打席に入っていたが、これは教団の「おやしきり(祖遂断)」という宗教儀式だ。入学に際し入信が義務づけられるのは硬式野球部が活動を休止した2016年も続いていた。学園のOBが語る。
「信者ではない球児も入信して教会に所属し、アミュレットを1万円で購入して入部していました。ところが、現在は仏壇に祀るようにして拝めるお神霊(みたま)を持つ家庭の生徒しか入学を許されないといいます。つまり、教団および学園の方針で、熱心な信者の2世や3世ばかりになっている。PL学園は教師(布教師)の育成学校のようなかたちとなっています」
受験者を増やすために門戸を広げるのではなく、むしろ経営陣自ら閉鎖的な学校運営へと舵を切っているような現状なのだ。それゆえ、硬式野球部と同じようにもともとの信者ではない生徒が数多く入部し、全国屈指の強豪だった剣道部や、女子バレーボール部も新入部員の募集を停止しているという。
そもそも、学校運営の柱となるPL教団の信者数が激減しており、3代教祖の御木貴日止(みき・たかひと)氏が2021年12月に死去して以降は、後継者を立てず、教祖不在という異常事態が続いている。そんな宗教団体に現役の信者が不信感を抱いても無理はなく、新規信者を獲得することも難しいだろう。要は教団の惨状が学園の窮地を招いているのだ。
「受験者ゼロ」の衝撃を受け、今後の運営方針をどう考えているのか――。学園に取材を申し込むと、2014年よりPL教団とPL学園の取材を続けてきた私にとっても意外な人物が対応した。
(後編につづく)
