新横浜駅は、開設から約60年の歳月を経て東海道新幹線の重要駅へと変貌した(撮影:小川裕夫)
そうした使い勝手を改善するには複線化するのが最善策だが、全線を複線化させるには土地の買収をはじめ線路・信号施設の整備などで費用が莫大になってしまう。それは現実的に難しいため、神奈川県や沿線自治体は行き違いのできる駅を増やすことを要望している。
また、神奈川県や沿線自治体は相模線の複線化だけではなく、相鉄のいずみ野線を湘南台駅から倉見新駅へと延伸させる計画も進めている。湘南台駅から倉見新駅までは、約8キロメートルも離れている。その中間には、大口の鉄道需要を見込める街がない。
「相鉄は湘南台駅から倉見新駅まで延伸しても需要が見込めないことを理由に、延伸する意思はないと明言しています。しかし、それは相鉄が自社で線路や駅を建設しないという意味です。神奈川県や沿線自治体が線路を建設すれば、電車の運行は引き受けてもらえるという話し合いはしています。そうした事情から、神奈川県は倉見新駅までの延伸を視野に入れつつ、とりあえず約3キロメートル先の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の一帯まで先行開業させることを考えています」(同)
途中のSFC一帯までの延伸に関しても、越えなければならないハードルはいくつもある。その先にある倉見新駅までの延伸は、さらにハードルが高くなる。実現が難しいと言えば、その通りだろう。
しかし、相鉄・JR直通線と相鉄・東急直通線は、その実現に20年以上の歳月を要した。相鉄がJRや東急と直通することを20年以上前から予見できた人は少ないだろう。そうしたことを踏まえれば、倉見新駅と相鉄の延伸を夢物語と切って捨てるわけにはいかない。
相鉄・東急直通線の開業を控え、相鉄沿線は盛り上がりを見せている。新線の効果によって相鉄の沿線開発が進めば、いずみ野線の延伸機運は高まるだろう。それまで行政・住民が誘致活動を絶やさないことが、なによりも重要になる。
