小出:すべて耳に入っていましたよ。自分はすぐに会見を開きたいと思っていたんです。報道の中には誤っている点がかなりありましたから、そこは自分の言葉で訂正したかった。歯がゆかったですね……。
でも、何より世間を騒がせてしまったことや、ご迷惑をかけてしまった本当に多くの皆さんに謝りたいという想いが日々強くあったので、ぼくはずっと記者会見を開く心づもりでいました。でも諸事情があって、それは叶いませんでした。決して逃げ回っていたわけではないんです。
山田:小出クンと話したことがあるかたは、わかっていたと思いますよ。今日もそうですけれど、いつもフランクに、いろいろなことを話してくれるかたですから。歯がゆかったというお気持ちは私にもよくわかります。あの頃は、お寺で修行や畑仕事をするようにアドバイスをくださったかたがいらしたんですよね。実際、そういうところまで追いかけた報道もありました。
小出:はい、やらせていただきました。自分を見つめ直すために必要なことだったと思っています。
これまでやってこなかった役柄や作品は引き受けるべきと思っている
山田:なんだかまた涙が出てきちゃいます。映画のお話をしましょう! 2月10日に公開された『銀平町シネマブルース』、拝見しました。すばらしい役者さんに囲まれて、劇中でも映画をこよなく愛する皆さんと、その中心にいらっしゃる小出クンが実際の小出クンと重なりました。多くの皆さんに見ていただきたいです。渡辺裕之さん(享年66)が映写技師の役で出演していらっしゃいましたね。
小出:そうなんです。昨年11月の舞台『「日本昔ばなし」貧乏神と福の神〜つるの恩返し〜』では奥さまの原日出子サン(63才)とご一緒したりと、とてもご縁がありました。渡辺さんとは印象深い2人のシーンもあったので……。そして『日本昔ばなし〜』には、本当は仲本工事さん(享年81)が出演する予定でしたから……どちらも、非常に思い出に残る作品となりました。
山田:どちらの作品も、あのまま小出クンが無傷で俳優業を続けていたら出会わなかったかもしれませんね。
小出:そうかもしれません。舞台では、仲本工事さんの代役で急遽出演が決まった生島ヒロシさん(72才)をはじめ、俳優さんが本業でないかたや、お笑い芸人さんたちも日替わりで出てくださいました。確かに、ぼくにとっては、新鮮な出会いだったかもしれません。
題材も新鮮でした。いろいろあって活動を再開してからの自分っていうのは、これまでやってこなかった役柄や作品に挑戦しなきゃと思いますし、そういう役が来たときには引き受けるべきだとも思いますし。