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マウスピース矯正トラブルで集団訴訟 「被害者1500人、総額20億円以上」で健康被害も

集団提訴し、被害者とともに記者会見する弁護士の加藤さん(写真/共同通信社)

集団提訴し、被害者とともに記者会見する弁護士の加藤博太郎さん(写真/共同通信社)

 ワイヤー矯正ではないから目立ちにくい。なんといっても「実質タダ」。そんな甘い言葉で多くの女性を誘い続けた歯科クリニックが集団提訴された。被害女性2人が語る卑劣な手口と、治療が止まった後の健康被害を詳報する。

「子供の頃からの夢がやっとかなった」。永久歯が生えそろわないうちから、自身の歯並びがコンプレックスだったという都内在住の女性会社員・Aさん(30代)は、2021年7月に歯列矯正を開始した当時、そう心を躍らせていた。

 ところがそれから1年半が経った現在、彼女の表情は晴れない。

「実は、治療を受けていたクリニックと昨年10月頃から連絡がつかなくなり、2か月に1回受ける予定だった診察の予約もできなくなってしまいました。その後も対応がなかったのですが、今年1月下旬、突然クリニックの閉院を伝える一斉送信メッセージが届きました。支払い済みの治療費187万円については、いまに至るまで何の説明もありません……」(Aさん)

 1月26日、全国で複数の歯科クリニックを展開していた「デンタルオフィスX」(以下・X)で、マウスピース矯正の治療を受けていた患者約150人が、同院の医師や運営会社の経営幹部を相手取り、総額約2億円の損害賠償を求める集団訴訟を起こした。

 原告側の代理人を務める弁護士の加藤博太郎さんによると「被害者は1500人以上被害総額は20億円以上」という。冒頭のAさんもこの訴訟の原告の1人だ。

 被害がこれだけの規模にのぼったのには理由がある。Aさんが経緯を明かす。

「2021年5月、インスタグラムに歯科衛生士を名乗る人物から一通のDM(ダイレクトメッセージ)が届いたのが悪夢の始まりです。普段ならスパム類は無視するのですが、そのDMがすすめてきたのは歯科矯正の中でも目立ちにくい、『インビザライン』というマウスピース矯正で、もともと関心があった治療法でした。しかも当月中に契約すれば『モニター』として実質無料になるというんです。経済的な理由で歯科矯正に踏み切れずにいた私はチャンスだと思い、前のめりになってしまいました」

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