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室内飼育の普及で延びる「猫の寿命」 長寿だからこその「医療費」や「介護」のリスクも

(写真/GettyImages)

室内飼育の普及で延びる「猫の寿命」(写真/GettyImages)

 ペットフード協会の2022年調べによると、猫の平均寿命は約16才。となると、20年も生きれば長寿なのだが、ギネス世界記録によると、なんと38才と3日も生きたメスの猫ちゃんがいた。“彼女”をはじめ、30才以上の長寿猫は何匹か記録されており、いまや猫の寿命を30才まで延ばすことは夢でなくなってきている。

「普段は自分から近寄ってこないのに、気まぐれに突然、私たちの肩に乗ってきたり、仕事をしていると、かまってと言わんばかりに、パソコンのキーボードの上に寝転んだり……。それで遊んであげると今度はプイッと背を向けてどこかに行ってしまうんです(笑い)。ツンデレというか、そんな程よい距離感がたまらなくかわいいんですよね」

 と、猫の魅力を語ってくれたのは、東京都の木村千恵子さん(68才・パート)だ。そうそうとうなずく愛猫家の方々も多いのではないだろうか。

 木村さんは、職場の敷地内で3匹の子猫を産んで衰弱していた母猫を、子猫と一緒に連れ帰り、以来20年間一緒に暮らしてきたという。ところが母猫は16才のときに乳がんを発症した。

「検査や手術代、入院代で70万円近くかかると言われ、あまりの額に驚きました。保険にも入っていなかったのですが、“彼女”は私にとって娘同然。定期預金を解約するのに迷いはありませんでした」(木村さん・以下同)

 手術は成功したが、その後肺に転移。衰弱していたため再手術は難しいと言われた。

「酸素吸入マスクを当てる私の手の中で眠るように亡くなったのですが、そのときのぬくもりや骨ばってしまった体の感触はいまでも忘れられません。前年に夫が亡くなったときは冷静でいられたのに、このときは体の一部がなくなったようで、夜通し泣きました。残された子供の猫たちには長生きしてもらおうと、より一層体調管理に気をつけるようになりました」

 ところが最近、3匹のうち1匹が慢性腎不全と糖尿病を併発。毎日自宅でインスリン注射を打ち、脱水症状を緩和する皮下点滴も病院で定期的に打っているという。

「子供の猫たちも20才なので、病気は仕方ありません。治療費がかさむ分はパートで補っています。苦しむことなく長く生きてもらうことが、いまの私の生きがいです」

 と笑顔で話してくれた。

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(写真/GettyImages)

この30年で寿命は10才以上も延びた!

 猫の寿命が年々延びているのは確かだ。埼玉県のノヤ動物病院院長・野矢雅彦さんはこう語る。

「猫のライフステージでは2才までが子猫、3〜6才が成猫、7〜14才がシニア、15才以上が超高齢期となりますが、私の病院で診察した猫の最高年齢は29才。しかも健康で、まだまだ長生きしそうです。妻の実家の猫は23才まで出産していました」

 単純に換算はできないが、人間でいうと100才近い高齢者が出産するようなものだ。ちなみに、ギネス世界記録の38才の猫は人間でいうと約170才にもなるという。

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