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“悪童”カシメロはなぜ新興プロモーターと契約を結んだのか。興行主に独占インタビュー

吉場正和

元世界3階級制覇王者のジョンリール・カシメロの久々の試合を組んだ伊藤雅雪氏(撮影/吉場正和)

 2022年12月、プロボクシングの元世界3階級制覇王者のジョンリール・カシメロ(34、フィリピン)が、元日本バンタム級王者でWBO世界スーパーバンタム級7位の赤穂亮(36)と韓国・仁川で対戦した。度重なる試合のキャンセルが続いていたカシメロの久々の試合として注目を集めただけでなく、カシメロがこの興行主と複数試合契約を締結したり、赤穂がこの試合を最後に現役引退を表明したりと、さまざまな話題を呼んだ。特にカシメロの複数試合契約は、アメリカの大手プロモーターからのオファーを蹴ってのことだったので、世界のボクシング市場を驚かせることになった。

 この試合の仕掛人はトレジャーボクシングプロモーション(以下TB)代表の伊藤雅雪氏(32)。昨年12月の大会は、TBの第1回興行。しかも海外会場というハードルを乗り越えこれほどまでに成功を収めたのは、伊藤氏の手腕によるところが大きい。元WBO世界スーパーフェザー級王者で、新興プロモーターとして”デビュー”したばかりの伊藤氏に、“悪童”カシメロはなぜ惚れ込んだのか。4月15日に同じく韓国・仁川でおこなわれる第2回興行の準備を進める伊藤氏に、今後の展望とともに話を聞いた。

──現在は第2回興行の準備中だと思いますが、どんな興行になりそうですか。

 前回の第1回興行はメインイベントとなるカシメロ戦を成立させることに、とにかく尽力しました。4月におこなう興行は、全試合に見どころがある試合にすることに意識を置いています。メインではミドル級で世界戦への挑戦者決定戦の立ち位置になる試合を組むことができました。日本国内の選手層がそこまで厚くないミドル級の試合で、そうしたチャンスを日本人が作っていくのは、難しいことです。国内では無敗で無敵の竹迫司登選手が世界にどう挑んでいくか、ボクシングファンにとっては楽しみな一戦になると期待しています。

 他にも元世界チャンピオンの岩佐亮佑選手と、井上尚弥選手のスパーリング相手を務めたことで注目を浴びているジャフェスリー・ラミド選手(アメリカ)との試合も組んでいて、ラミドをラスベガスから韓国に呼ぶ調整もつきました。全6試合を組む予定です。

──前回の興行からグレードアップしているところはどこでしょうか。

 TBの興行の方向性は、正統で本格的なボクシングの試合を楽しむ「ガチ路線」です。どちらか一方が勝てる試合を作るのではなく、なるべく拮抗した実力の選手同士でのマッチメイクを心掛けています。アジアや世界を舞台にし、日本人が中心になってそういう興行を行う団体は、他にはないと思っています。そういう意味では前回も今回も試合の中身の面白さは変わりません。

 さらに今回は、試合を見てもらうまでの過程も大事にしようと思っています。具体的には芸能人の方にお声掛けして、エンタメ性という雰囲気作りも含めたプロモーションをしてみようと思っています。まだ詳しくは言えませんが色々と仕込んでいます。ボクシングって観に来たら絶対に楽しいんですけど、観に行くまでのハードルが高い。だからこそエンタメ性という部分にもこだわろうと思っています。

 前回の興行で自分の中でも足りない部分が見えたので、4月はグレードアップしたものをお見せできるという自信があります。HPも作ったのでぜひチェックしてみてください。

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