永遠の化学物質PFAS
知らないうちに高濃度のPFASを口にしているかもしれないのだ。問題は農作物だけに留まらない。PFAS問題に詳しい京都大学大学院医学研究科准教授の原田浩二さんが言う。
「PFASは蓄積性が高いため魚介類の体内で濃縮され、食品として戻ってくることは充分ある。食物連鎖の上にいる大型魚は、特に多く含有しやすいと考えられます」(原田さん・以下同)
多摩地区の水源が地下水であったことから、地下水をくみ上げずに川の水を飲用している地域は関係ないと思うかもしれないが、それも正しいとはいえない。
「水源が川であっても、水道水から高濃度PFASが検出されたことはあります。兵庫県明石市では上流の産廃処理場からPFASが流出した例がありました。また、川の上流に不法投棄された土砂からPFASが浸透してしまうこともあり得るでしょう」
世界を見回したとき、高濃度のPFASが検出される場所に共通点があった。
「米軍基地と同じ泡消火剤が使われている空港施設や石油コンビナート、大型立体駐車場、化学工場、下水処理場、ゴミ埋立地などが近くにあると地下水が汚染されている可能性が高くなります。アメリカの研究では4万9145の産業施設や4255の排水処理場、3493の軍事施設、519の主要空港での汚染が確認されています。日本もそうしたところを積極的に調べるべきでしょう」(植田さん・以下同)
調査すれば続々と汚染箇所が見つかるかもしれないのだ。
ファンデーションや日焼け止めにも
さまざまな病気を引き起こす可能性があるPFAS。自宅の水道に含まれているかどうか見分ける方法はあるのか。
「現在、検査キットなどはありません。供給を受けている水道事業者に尋ねましょう」
わずかでもPFASが検出されているとの答えだったら、どう対処すればいいのか。