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花粉症で服用する抗ヒスタミン薬 副作用で認知機能低下に近い症状が現れることも

(写真/GettyImages)

服用薬が体を老化させているかもしれない(写真/GettyImages)

 人生100年時代といわれて久しい昨今、私たちの目下の願いは健康な心身を保ちながら長く生きることだ。しかし風邪を治すために、不眠を解消するために、体の痛みを取るために……病気を遠ざけ、健康な体を維持するために服用しているはずの薬が、かえって体を老化させていることがある。

「最近、物忘れが増えた」「同じことを何度も聞いてしまう」。まるで認知症のような症状が、手軽に買える市販薬によって引き起こされることがある。まず気をつけるべきは、花粉症をはじめとしたアレルギー性鼻炎で服用する抗ヒスタミン薬だ。国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎さんが指摘する。

「頭がぼんやりしたり、物の名前を思い出せなかったりするなど、認知機能の低下に近い症状が現れることがあります。本人は副作用だと気づかないうちにやる気が減退し、仕事の業績が落ちた人もいました。眠気が起きないことを謳う薬であっても、集中力や判断力、作業能率が低下する『鈍脳』を引き起こすことがあります」

 抗ヒスタミン薬が脳を“老化”させるのは、含有する「抗コリン薬」という成分に原因がある。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんが解説する。

「抗コリン薬は、鼻炎薬だけでなく風邪薬や酔い止め、頻尿改善の薬など、あらゆる市販薬に含まれる可能性があります。鼻粘膜の知覚神経や膀胱の収縮に関与する『アセチルコリン』という神経伝達物質をブロックすることで症状を緩和する薬ですが、長期に服用することで脳の神経にも作用し、認知機能の低下につながります」

 かすみ目や視力低下といった目の老化を引き起こすケースもある。

「抗コリン薬には自律神経中の副交感神経の働きを抑える作用もある。その結果、交感神経が優位になり、目にも影響して瞳孔が開きやすくなります。瞳孔が長時間開いたままになると、眼圧が高くなり、急性緑内障になる可能性があるのです」(一石さん)

 薬剤師の三上彰貴子さんも注意を促す。

「特に女性は40代以降で緑内障が増えますが、初期では自覚症状がほぼないため、自分が緑内障であると気がついていない人が抗コリン薬をのんで、知らずして眼圧が上がってしまうことがあります。薬をのんだときに、目が重い、または目や頭に痛みを感じたり電球の光に輪がかかるようにぼやけて見えたりするならば、眼圧が上がっている可能性がある。早めに眼科へ行くことをすすめます」

※女性セブン2023年3月16日号

起きうる薬の副作用

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