一般的に、プロ転向前までは、写真使用の許諾などは「本連盟経由で選手、所属に確認し許諾いたします」(日本スケート連盟)という。一方、プロ転向後は当然ながら、窓口は個人のマネジメント事務所に移る。羽生は以前から、写真の取り扱いについて慎重な考えを持っていたという。時期は2006年のトリノ五輪後までさかのぼる。同五輪では、荒川静香(41才)が日本勢唯一となる金メダルを獲得した。
「五輪後、荒川さんの競技での勇姿は連日メディアで取り上げられましたが、開脚したシーンや大きく後ろに反るイナバウアーの姿から、“性的な想起”をさせるような形で使用されることがあったんです。いまでこそ女性アスリートの性的な画像は社会問題となっていますが、当時はまだ認知されていなかった。
それに懸念を示した荒川さんサイドが、連盟に写真の使用方法などを事前にしっかりヒアリングするよう要望したことがあったといいます」(前出・スケート関係者)
荒川の考えには、トリノ五輪代表だった高橋大輔(36才)や、まだジュニア世代だった羽生も賛同する姿勢だったという。荒川は羽生が幼い頃から面倒を見てもらってきた同郷の大先輩であり、リスペクトし続けてきた存在でもあったからだ。女性アスリートの性的な画像という範囲に留まらず、羽生は選手の写真の適切な管理が行われるべきという考えを持っていた。その考えは、プロ転向後も変わっていないようだ。
「プロ転向後、スポーツ紙などに対し、写真の使用は制限されています。『GIFT』では、各社のカメラマンの撮影ではなく、報道に使える写真は主催側からの提供写真のみ。新聞には配達用と駅の売店などでの販売用に異なるカットを使用して購買を促す『作り変え』という施策があるんですが、それも控えるようにとのお達しがあったと聞いています」(スポーツ紙記者)
※女性セブン2023年3月23日号