また、深夜帯はゴールデン・プライム帯ほど放送収入が得られづらいため、視聴率獲得にしばられず配信再生数を上げるための脚本・演出に注力することが可能。もともと配信再生数を得る上で、「何曜日の何時から放送されているか」はさほど関係なく、予算こそ低い反面、「表現の自由度が高い」というメリットもあり、深夜帯のドラマ枠が増えています。
ちなみにバラエティは、番組数がドラマの数倍あるにもかかわらず、「配信再生数が伸び悩んでいる」というのが現状。各局が放送収入と配信収入の両方を得られるバラエティを模索している最中であり、だからこそ今はドラマにかかる期待が大きいのです。
18日に新ドラマ4作同時スタート
ただ、ドラマ枠が増えても、視聴者のニーズに沿った内容で、脚本・演出などのクオリティが高くなければ、単純に競争が厳しくなってしまうだけ。1人あたりのドラマ視聴本数は増えず、ビッグヒットも生まれづらいでしょう。つまり、ドラマ枠が増えるほど、その内容とクオリティが問われることになり、これが新たな課題になりはじめています。
また、ドラマ枠が増えたことで発生しているのが、出演俳優の争奪戦。主演俳優をかなり早い段階から抑えておくのはもちろん、助演俳優の確保も難易度が上がり、「プロデューサーがイメージしていたすべての候補がスケジュールNGだった」なんてことも少なくありません。近年は視聴者の目が肥えてきたこともあって「人気者をそろえればOK」というわけにもいかず、かといって知名度の低い俳優では視聴率も配信再生数も厳しいため、「この人、毎クール出ている」「またかけもちしている」というケースが増えています。
今春の現象として面白いのは、ドラマ枠が増え、放送時間の移動もあった結果、18日に「ドラマ4作が異例の同日スタート」という珍現象が起きていること。テレビ朝日系で21時から『unknown』、TBS系で22時から『王様に捧ぐ薬指』、NHKで22時から『育休刑事』、フジテレビ系で23時から『ホスト相続しちゃいました』(カンテレ制作)の初回が放送されます。