ライフ

バリウム検査、肺レントゲンなど 早期発見は難しくリスクは高い…時代遅れの「がん検診」

がん検診に伴う「リスク」も(イメージ)

がん検診に伴う「リスク」も(イメージ)

 日本人の死因1位である「がん」。早期発見・早期治療が重要視され、様々ながん検診が行なわれているが、新潟大学名誉教授の岡田正彦医師はこう語る。

「検診で悪性度の高いがんを正確に見分けることができて、適切な治療につながればいいのですが、必ずしもそうではない現実があります。がん検診は漫然と毎年受けるのではなく、検査の精度や各人のリスクを勘案しながら受けるかを判断する程度でいい」

 岡田医師は、がん検診に伴う「リスク」についてこう警鐘を鳴らす。

「検査によっては、十分なエビデンスがないまま惰性で続けられていたり、がんの早期発見メリットが限定的であるにもかかわらず、検査による別の健康リスクが大きいと考えられるものもある」

 検診を受けることによるリスクとは何か。

「検査が『過剰医療』につながる恐れがあります。検査自体は身体への侵襲性が低くても、そこで異常が見つかることにより、さらにX線検査を受けたり、薬を服用することになったり、場合によっては手術を受けることがある。それらが健康を損ない、患者さんの不利益になるケースがあり得ます」(岡田医師)

 まずは肺がん検診で実施される胸部X線検査(レントゲン)だ。

「労働安全衛生規則では、労働者は1年以内に1回、原則として胸部X線検査を受けるよう定めていますが、X線検査はがんでない影を誤ってがんと判定してしまう可能性も高く、リスクが大きいと考えます」(同前)

 胃がん検診の胃部X線検査(バリウム検査)も同様だ。

「造影剤のバリウムを飲んでX線検査を行ないますが、長時間にわたり放射線を浴びて発がんリスクがあるうえ、何か見つかると胃カメラ検査を受けることになります。患者さんにとっては二重の苦しみと言える。ほとんど日本でしか行なわれていない胃のバリウム検査は、十分なエビデンスもありません」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン