いまは別々の施設で暮らす、おすぎとピーコ
「ピーコさんが逮捕されたんです」
「買い物に訪れていた店で、ピーコさんが万引き(窃盗罪)で逮捕されたんです。お店側は以前からピーコさんの買い物の様子が気になっていたようですが、名前のあるかただし何かの間違いだろうと考えていた。ですが万引きを繰り返していることがわかり、警察に通報したようです。本人は“代金はカードで払った”と話していましたが、クレジットカードは使用停止に陥っていて使えなくなっていました。逮捕された店だけではなく、自宅周辺の複数のお店が警察に相談していたようです」(前出・ピーコの知人)
認知症患者の万引きは、法的に罪を問えるのだろうか。岡野法律事務所九段下オフィスの伊倉秀知弁護士が解説する。
「認知症のかたが万引きした場合、責任能力の有無が問題になります。良い悪いを判断する能力と、その判断に従って行動する能力の両方またはどちらかが欠けていれば、“心神喪失”とみなされて罰せられません。また、2つの能力の両方またはどちらかが著しく減退している場合は、刑が軽減されます。罪に問われるかどうかはケースバイケースですが、立件されないケースも少なくありません」
逮捕後、ピーコは釈放され、自宅には戻らず施設に入所した。
「行政の担当者が、代理人弁護士と話し合って処遇を決めたようです。ひとり暮らしはもう難しい状態で、身寄りもなく頼れる人もいない。そこで施設に入所したようですが、おすぎさんとは違うところにしたそうです。ピーコさんの逮捕はごく親しい人にしか伝えられず、携帯電話も解約してしまったので、知人や友人らも連絡が取れない状態が続いています」(前出・ピーコの知人)
これがピーコ失踪のてん末のすべてだった。