“単独訪米”した裕子夫人(写真/AFP=時事)
どこも報じない「ゴルフ談義」
記者B:岸田総理の鈍感さ、危機管理意識の低さという点では4月6日の自衛隊のヘリ墜落直後の対応もそう。ヘリが消息を絶ったという第一報を受けた後、総理は森喜朗・元首相や経済人との会合に出た。どこも報じていないが、宴席では4日前に経済人たちと回ったゴルフ談義に花を咲かせ、「あのゴルフは楽しかった」と上機嫌だったそうだ。ちょうどその頃、防衛省では陸上幕僚長が会見を開いて「航空機事故と判断した」と国民に謝罪していた。これでは“第2のえひめ丸事故【※注】”に近いものがある。
【※注/森政権時代の2001年2月、愛媛県の水産高校の練習船「えひめ丸」がハワイ沖で米原子力潜水艦に衝突されて沈没し、生徒ら9人が死亡した。当時の森首相はゴルフ中だったが、事故の報告を受けた後もゴルフを続けたことが批判されて支持率が低下し、辞任に追いこまれた】
記者A:会合で森さんは「首相を支える」と言っていたそうだから、岸田総理はヘリ事故のことなど忘れて、後ろ盾を得たとはしゃいだんだろうね。
記者C:これが民間のヘリなら別ですが、自衛隊だったから岸田さんは防衛省に任せればいいと気にしなかったのでは。自衛隊嫌いの野党はあまり追及しないでしょうし、えひめ丸事故とは状況が違うと考えたのではないですか?
記者B:ヘリには陸自の第8師団長という制服組トップクラスが搭乗していた。事故原因が何であれ、三つ星(中将クラス)の幹部が消息不明になったことは国防上の重大事だよ。“民間ヘリじゃないから”と関心が薄かったとすれば、総理はあまりに安全保障上の認識が甘すぎる。記者たちもそう感じないなら認識を改めたほうがいい。
記者A:岸田総理は自分では防衛通のつもりらしいよ。安倍内閣時代に稲田朋美・防衛相が更迭された時、外相だった岸田さんは安倍(晋三)総理に頼み込んで内閣改造までの5日間だけ防衛相を兼務させてもらった。官邸ホームページの首相の経歴にも「防衛大臣兼務」と載せているほどだ。
(第2回につづく)
※週刊ポスト2023年5月5・12日号