阪急が運行しているSDGsトレイン
SDGsは協働して取組を進めることが大切
阪急と阪神は、もともと大阪―神戸間で鎬を削るライバル私鉄だった。しかし、2005年に投資ファンド(村上ファンド)による阪神電鉄株の買収が明るみに出る。これらの騒動を経て、2006年に阪急と阪神は経営統合。こうして阪急阪神ホールディングスが誕生する。
一連の流れから、阪急と阪神が一丸となって運行することは納得できる。しかし、なぜ東急と協業することになったのか?
「SDGsは、さまざまな主体と協働して取組を進めることが大切です。2019 年秋、すでに 積極的に取り組まれていた東急に声をかけました。東急からも賛同をいただいたことで、協働することになったのです」(阪急阪神ホールディングス広報部担当者)
阪急・阪神のSDGsトレインは、阪急電鉄線内は神戸本線・宝塚本線・京都本線で各一編成、阪神電鉄線内で一編成が運行されている。
また、2019年5月から運行を開始した東急と同様に、阪急と阪神が運行するSDGsトレインは2022年4月に車両デザインを一新。新装したSDGsトレインは、2025年の日本国際博覧会(大阪万博)頃まで運行する予定だ。
もともと、鉄道はCO2の排出量が少なく、電力使用も効率的な移動手段として認識されてきた。近年は使用する電力も再生可能エネルギーを使う傾向が強まっている。それだけに、わざわざ宣言する必要はないようにも思えるが……。
「SDGsは環境分野だけの取り組みではありません。阪急阪神HDが掲げる”未来のゆめ・まちプロジェクト”は、“地域環境づくり”と“次世代の育成”に重点を置いた社会貢献活動に取り組んでいます。また、SDGsのひとつでもある女性の活躍推進にも取り組んでいます。2023年4月1日の時点で、阪急では駅員421名のうち89名、運転士553名のうち44名、車掌466名のうち68名が女性です」(同)
鉄道業界は長らく男性主体の職場とされてきた。そのため、いまだ男性が多く、女性職員は少ない。時代とともに女性が増えているものの、他業界に比べて女性の進出は遅い。そうした中、阪急と阪神は積極的に女性職員を増やそうとしている。