芸能

『いいとも』から受け継いだ伝統 『ぽかぽか』総合演出が明かす“明石家さんまさんから学んだブレない精神”【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】

子供の頃から「テレビっ子」だったという鈴木氏

番組の総合演出を務める鈴木善貴氏

「みんなの楽しいが集まる場所!」を合言葉に、今年1月にスタートした生放送の帯バラエティ番組『ぽかぽか』(フジテレビ)が放送開始から5か月近く経つ。MCのお笑いコンビ・ハライチとフリーアナウンサー・神田愛花の掛け合いにも磨きがかかり『笑っていいとも!』を彷彿とさせる活気だ。

 番組の演出を務める鈴木善貴氏は、『トリビアの泉』『お台場明石城』『アウト×デラックス』を担当し、『いいとも』では、2013年から番組終了の2014年まで水曜日のディレクターも務めた。鈴木氏に、『ぽかぽか』番組立ち上げの経緯と「予定不調和」の作り方を訊く。

 聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。テレビ番組の制作者にインタビューを行なうシリーズの第5回。【前後編の前編】

 * * *

「ぽかぽか」立ち上げを告げられたのは放送開始4か月前

「バラエティ班が作る生放送ですから、予定不調和の楽しい番組になっていくと思います」

 今年1月に放送された『週刊フジテレビ批評』で代表取締役社長・港浩一は『ぽかぽか』についてそう語った。「開局65周年イヤー」を迎えた今年、様々な企画が目白押しだが、その第1弾と位置づけている、と。いわば、社長肝いりとして始まったのが『ぽかぽか』なのだ。

 実際、番組総合演出を務める鈴木善貴によると、初めて番組の立ち上げを聞かされたのは昨年の8月末。6月28日付で社長に就任したばかりの港から直々に告げられたという。

「なんの前フリもなかったですね。港さん流の言い方で『よし、善貴。お前に1月からの昼の番組を命じる』って(笑)。あとは『バラエティでやるぞ』『まだ言うなよ』って言われました。『FNSをちょっと盛り上げてくれ』みたいなことも言われたのかな。とにかく港さんがニコニコしながら言っている表情しか記憶に無いですね」

 本格的に動き始めたのは9月。昼の生放送、帯番組としては準備期間が短すぎる。決めなければならないこと、やらなくてはならないことは山積みだった。しかし「どうせ何があっても1月になればオンエアはやってくる」と開き直り準備を進めた。

 いくら全社をあげて応援されている番組といえどもスタッフ集めは簡単ではない。皮肉にも港指揮のもと、深夜にも次々と実験枠が立ち上がり、ディレクター陣は多忙を極めていた。それでも鈴木の希望通りの精鋭5人が各曜日を担当することになった。

「ディレクター経験1~2年の若手にやらせてみようという案もあったんですけど、立ち上げまで時間もないし、その頃はまだ演者も決まってない。だから人からではなく、企画から内容を決めるしかない。そうなるとある程度の経験値は必要だと思ったんです。しかも生放送ですから。それで自分が信頼するディレクターたちに声をかけました。

 チーフプロデューサーには、編成から来た南條(祐紀)が就いてくれました。9月末にはタイトルを発表しなきゃいけなかったんですけど、タイトル案はヤバいのもありましたね。南條が出したのは『お台場ジャンジャン』(笑)」

関連記事

トピックス

中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン