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佐々木朗希「登板回避」決めた恩師 母校に戻り指導の日々「可能性を持つ選手は他にもたくさんいる」

いよいよ日本球界を代表する投手となってきた佐々木朗希(時事通信フォト)

いよいよ日本球界を代表する投手となってきた佐々木朗希(時事通信フォト)

 今季好調なロッテを引っ張るのが、エースに成長した佐々木朗希(21)だ。岩手・大船渡高校の硬式野球部監督だった國保陽平氏(36)は高校時代の佐々木を指導した経験も糧にして、今春からは自身の母校である盛岡第一高校に戻り、副部長として高校野球の指導を続けている。『甲子園と令和の怪物』著者のノンフィクションライター・柳川悠二氏が話を聞いた。【前後編の前編】

 * * *
 令和の怪物がいよいよ復帰登板を迎える。右手中指にできたマメの影響で5月5日以降の登板を見送ってきた千葉ロッテの佐々木朗希が、5月28日の福岡ソフトバンク戦で先発するのだ。

 岩手・大船渡高校を卒業してわずか3年あまり。昨春には史上最年少で完全試合を達成し、今春には侍ジャパンの一員としてWBC制覇に貢献。今季の佐々木は、開幕から20イニング連続で無失点投球を続け、黒星がつくことなく3勝を挙げている。4月28日のオリックス戦では日本人最速タイとなる165キロを連発し、ここまで規定投球回には達していないものの、防御率は0.84で、奪三振の数は投球回(32)を大きく上回る50個だ。

 3、4月度の月間MVPを受賞し、オールスターのファン投票も先発投手部門で1位の票を集めている。21歳にして既に大谷翔平(エンゼルス)や山本由伸(オリックス)らと肩を並べるような日本を代表する投手となったことに、異論を挟む者はいないだろう。

 佐々木が日本球界に新たな足跡を残す度に、思い浮かぶのがあの監督──佐々木を大船渡高校時代に指導した國保陽平氏だ。今回、國保氏と会うのはおよそ1年ぶりだった。ただ、岩手県の雫石町営野球場にいた國保氏はこれまでのようなピンストライプ(縦縞)のユニフォーム姿ではなかった。

 この春から國保氏は、往復4時間をかけて通勤していた大船渡高校から、自身の母校であり県下一の進学校である盛岡第一高校に転任となり、硬式野球部の副部長を任されることになったのだ。

 新天地で晴れやかな表情の國保氏は、今季の佐々木の活躍を見た印象をこう話す。

「順調にキャリアを積んでいるのではないでしょうか。骨格が成長段階にあった高校時代でも、朗希は160キロを投げられた。そのパフォーマンス構造を崩すことなく、身体全体が等倍にスケールアップしているのが良いですね。下半身だけ大きくなったり、肩周りの筋肉だけ肥大化していたら、バランスが崩れてかえって球速が落ちたり、コントロールが悪くなったりするもの。全体的にバランス良くトレーニングすることは本人も高校卒業から意識してきたことだと思います」

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